地球で一番深い海で原油を食らうバクテリアを発見(マリアナ海溝) (1/2ページ)
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海はまだまだ未知の領域である。世界で最も深い1万911メートルの海底に横たわるマリアナ海溝ならなおさらだ。
この度、マリアナ海溝の暗い海の深淵で新しい神秘が明らかになった。
マリアナ海溝で実施された、これまでで最も包括的な微生物の解析によって発見されたその「深きもの」は、なんと原油に含まれるものと似た化合物を食べるのである。
こうした油を食べる微生物は以前にも発見されていたが、これほどの深海で発見されたは初のことだ。
・最も深い海で原油や天然ガスに含まれる炭化水素を食べる細菌
マリアナ海溝で発見された細菌は炭化水素を食べる。
同様に炭化水素を分解する細菌は地上でも発見されているが、マリアナ海溝での密度は、これまでの地上の記録を上回っている。
そしてこのことが、爪の指ほどの面積に1091キロ相当もの圧力がくわわるこの極限環境の深海で、彼らがどのように生きているのか窺うヒントになるかもしれない。
イギリス・イースト・アングリア大学のジョナサン・トッド氏によれば、炭化水素とは、水素と炭素原子だけで構成される有機化合物で、原油や天然ガスなどさまざまな場所に存在する。
このタイプの細菌は、基本的にこうした原油に含まれる化合物と同じようなものを食べて、エネルギーにしています。
似たような微生物は、2010年にメキシコ湾で起きた原油流出事故のような災害で、流出した原油を分解する上で一役買っています。(トッド氏)
・深海底に存在する炭化水素――その起源は?
将来的に極小の生き物をリクルートして原油流出事故の処理がおこなわれるかどうかは別としても、こうした微生物が深海でどのようにエサを食べているのか、そしてそんな彼らは誰に食べられているのか、研究者はますます興味を募らせている。