コウモリのような翼を持つ恐竜の化石が発見される。そこには恐竜が空を飛ぶための試行錯誤の痕跡が(中国) (1/3ページ)
image credit:Chinese Academy of Sciences
今からおよそ1億6300万年ほど前、ジュラ紀と呼ばれる時代の真っ只中において、羽毛を生やした恐竜が空へと飛び立ち始めた。
物をつかむために進化した爪の生えた腕は、やがて空力的な役割を担うようになり、羽毛の生えた手足は、重力に逆らうために羽ばたくためのものとなった。だが、恐竜がみな同じやり方で空を目指したわけではない。
中国遼寧省で発見された化石は、コウモリのような羽を持つ恐竜がいたことを明らかにしている――それは恐竜の飛行方法がさまざまであったことを示すものだ。
・コウモリのような翼を持つ恐竜
コウモリのような翼を持つ恐竜が初めて発見されたのは2015年のこと。中国語で「奇妙な翼」を意味する「イー・チー」は、体が産毛に覆われているものの、翼は主に指と指の間にはられた膜でできている。
その見た目は1億年以上後にならないと登場しないコウモリか、同時代の翼竜のそれだ。
今回『Nature』(5月8日付)で発表されたのは、2種目となるコウモリ似の恐竜で、「アンボプテリクス・ロンギブラキウム(Ambopteryx longibrachium)」と名付けられた。
骨格の保存状態は良好で、それを覆う産毛や体内の内臓まで残されている。
その姿はイー・チーによく似ており、どちらもスカンソリオプテリクス科という、非鳥類型恐竜の仲間に分類される。
しかし骨格に特徴があり、アンボプテリクスは前足が後ろ足よりも長い。また尻尾は長い羽を支えていたらしく、背椎と融合しているという特徴がある。