たった一人で織田軍を足止めした歴戦の武者・笠井肥後守高利の壮絶な最期【後編】 (3/6ページ)

Japaaan

一息に圧(へ)し折ってくれるわ!」

「吐(ぬ)かしおれ!黙って聞いておれば、何奴(どやつ)も此奴(こやつ)も肥後々々(ひごひご)と、こちとら竹(≒籤―ひご)じゃねぇ……と言いたきところなれど、筋は真っ直ぐ、撓(しな)れど折れぬ強さこそ、甲州武者の真骨頂じゃ!

とて呵呵大笑。もう何人倒したでしょうか、それでもなお衰えぬ口上に、源右衛門は呆れるやら感心するやら。

「その減らず口もこれまでじゃ!我が名は滝川源右衛門助義、その方(ほう)相手にとって不足なし……いざ!」

猛然と迫りくる滝川源右衛門助義(イメージ)。

「……おう、参れ!」

騎馬のまま猛然と迫る源右衛門の槍先を睨み据え、高利は槍を構えました。

壮絶な最期!滝川源右衛門と相討ちに

基本的に、攻撃は高所から繰り出す方が有利。低所で受けるほど不利となります。

馬上から槍を繰り出さんと迫り来る源右衛門に対して、徒歩でそれを受けねばならぬ高利は、圧倒的に不利な状況。

しかし、ここで一歩でも退けば最後。勢いは完全に源右衛門ひいては滝川軍のものとなり、最早食い止めることなど叶いません。

そもそも決死の覚悟を決めた以上は、退いて命を永らえる理由もなく、踏みとどまって戦うまでです。

(そうじゃ……絶体絶命と思うたが、よう考えてみれば、ただわしが死ぬだけではないか)

顧みれば武士の本領たる槍が一筋、確かにこの両手で握られている。

(わしはまだ、戦える。

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