世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第336回 アベ・ショックの“後” (2/3ページ)

週刊実話

経済同友会の櫻田代表幹事は、8月3日の記者会見で、「増税よりも消費意欲が伸びていないことが心配だ」と述べ、消費税率の引き上げよりも、将来不安を背景とした消費意欲の弱さに懸念を示したのである。消費に対する罰金を増やすことに賛成しておきながら、いや、だからこそ、「消費税増税より、消費意欲が伸びていないことが問題」と言ってのける。経済同友会は、前代表幹事の小林喜光氏が4月に、「消費税率を10%台後半に引き上げる議論に早く着手すべきだ」と発言するほどの財務省の「飼い犬」だ。消費税増税を批判できないため、増税後の消費の落ち込みを予見しつつ、「年金不安で消費意欲が伸びていないため。増税のせいではない」と、言い訳をするための布石を打っているとしか思えない。あるいは、消費税増税ではなく、年金不安のせいで消費が縮小しているとなると、増税後に、「年金など社会保障の不安を解消するために、更なる消費税増税!」のレトリックが使える。

 いずれにせよ、10月1日以降の「アベ・ショック」は、もはや確定だ。消費税増税、五輪不況、さらには米中覇権戦争、ドイツ経済の失速、ブレグジットによる外需縮小。日本が「アベ・ショック」に突入することは、残念ながら避けられない。

 自民党が政権を失う、あるいは政権が倒れるのは、決まって「経済ショック」の後である。細川政権や鳩山政権は、バブル崩壊やリーマン・ショックという“危機”の後に誕生した。橋本緊縮財政による経済デフレ化というショックは、政権交代こそ引き起こさなかったものの、橋本内閣は参院選で敗れ、倒れた。

 改めて振り返ると、橋本政権の時代は、緊縮派が敗れても、自民党内で「財政拡大派」に“政権交代”できていたのだ。リーマン・ショック後の麻生政権も、正しく財政拡大政策に転じた(とはいえ、民主党への政権交代は避けられなかったが)。

 ところが、今回はPB黒字化目標を掲げる安倍総理が、自民党内で相対的に財政緊縮派という“最悪”の状況なのである。アベ・ショック後のポスト安倍と目されている政治家は、菅官房長官、小泉衆議院議員、岸田政調会長、石破元幹事長などなど、緊縮財政派、構造改革派だらけだ。

 しかも、野党は野党で、PB黒字化を目指す「超緊縮」の安倍政権を「放漫財政」と批判する。

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