世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第336回 アベ・ショックの“後” (3/3ページ)

週刊実話

まるで、できの悪い戯画を見ているようである。

 アベ・ショック後、自民党内の財政拡大派の勢力が政権を握れるならば別だが、少なくとも数年は難しいだろう。自民党の国会議員は、財務省の洗脳が完了した緊縮財政派だらけであり、アベ・ショックは「’19年10月」から始まるのだ。自民党内の財政拡大派が勢力を拡大する時間的余裕はない。

 結局のところ、アベ・ショック後に「自民党政権」ではない、反緊縮勢力が政権を握れるか、せめて政治的パワーを持ち得るかに、すべてがかかっているのだ。政権交代にまでは至らなかったとしても、国会でMMT(現代貨幣理論)に基づく正しい財政やデフレ対策の議論が始まれば、希望は出てくる。

 そのためには、まずは国民や政治家が正しく「現代の貨幣」を理解しなければならないのだ。

 要するに、MMTが説明した「現実」を国民や政治家が共有し、財政破綻論や緊縮財政至上主義からの脱却を、政治的に実現しなければならないのだ。現代の日本国民には、財政主権がない。事実上、財務官僚が独占している財政主権を、日本国民は取り戻さなければならないのだ。

 というわけで、先日、東洋経済新報社から刊行した書籍『MMT現代貨幣理論入門』の著者である、MMTの中心的な経済学者ランダル・レイ教授を招待し、第2回となる「MMT国際シンポジウム(主催:京都大学)」が10月に開催される予定となっている。読者の皆様も、ぜひ、日本におけるMMT普及のために協力、あるいは「参加」して欲しい。

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みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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