東京都葛飾区の南蔵院にあるしばられ地蔵がぐるぐる縛られている理由 (1/8ページ)

心に残る家族葬

東京都葛飾区の南蔵院にあるしばられ地蔵がぐるぐる縛られている理由

東京都葛飾区東水元の南蔵院は、盗難除け・足止め(ある一定の場所を離れないようにすること)・厄除け・縁結び・受験など、ありとあらゆる願い事を叶えてくださるという、「しばられ地蔵」で有名だ。それは、高さ1メートルほどの石のお地蔵さまだが、何故、分厚く、縄でぐるぐる巻きに縛られているのか。
このことは「お地蔵さま」そのもののありようと関連している。地蔵菩薩はとても慈悲深く、衆生のあらゆる苦しみを代わりに引き受けてくださる「代受苦(だいじゅく)」を体現している菩薩だが、それを「縄で縛られている格好」で表象していると考えられるのだが、この「縛られ地蔵」は、ドラマや映画で「遠山の金さん」同様、名奉行で知られる大岡越前こと忠相(ただすけ、1677~1751)のお裁きがきっかけであると伝えられている。

■泥棒の行いを黙って見ていた地蔵も同罪とした奉行


南蔵院が現在地に移転する前、現在の墨田区業平橋1丁目に所在していた、享保年間(1716~1736)のことである。

ある夏の日に、日本橋の呉服屋の手代(てだい、商家の番頭と丁稚の間に位置する使用人)が、大量の白木綿を背負って、或いは荷車に載せて、柳島(やなぎしま、現・墨田区〜江東区の業平、横川(よこかわ)、太平(たいへい)、錦糸町、亀戸(かめいど))へ商いに行った帰り、業平橋または南蔵院の門前に立っていたとされる石地蔵のそばで昼寝をしてしまった。

しばらくして、手代が目覚めたときには、反物全てが盗まれてしまっていた。慌てて南町奉行所(現・千代田区有楽町)に訴え出たところ、忠相はなんと、「泥棒の所業を黙って見ていたとは、地蔵も同罪である!召し捕れ!」と命じ、荒縄で地蔵を縛り、市中引き回しの後、お白洲(しらす、今日の法廷)に引き出させた。

当時の忠相は新任だったことから、町人たちは興味津々で奉行所に押しかけてきた。

忠相は頃合いを見て、奉行所の門を閉じるように命じた。

「東京都葛飾区の南蔵院にあるしばられ地蔵がぐるぐる縛られている理由」のページです。デイリーニュースオンラインは、社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る