【橋下市長vs在特会・桜井会長】面談はなぜ「子供のケンカ」で終わったのか
10月20日、橋下徹大阪市長と在日特権を許さない市民の会(在特会)の桜井誠会長の意見交換が大阪市役所で行われ、その模様がニコニコ生放送で生中継された。
かねてから在特会がデモで行うヘイトスピーチを批判、その対策を検討していた橋下氏。これに対し、9月に在特会側から意見交換の申し入れがあり、今回のディベートの場が実現したわけだ。
しかし、実際に意見交換会が始まると、両者は怒号を飛ばし合うだけ。「帰れ」「お前が帰れ」「お前って言うな」と小学生並みの罵詈雑言を展開。しまいには「飛田新地に帰れ」(桜井会長)と叫ぶなど、とても意見交換できる状況ではなくなってしまった。
議論の軍配はどちらに? ディベートの専門家に聞いた
この動画を見ていた人たちからは「子供のケンカかよ」などの意見が聞かれ、笑いの対象にしかなっていない。そもそもなぜ、このような状況になってしまったのか。千葉大学の教授で全国ディベート教室連盟の理事長を務める藤川大祐氏に聞いた。
「ディベートとは、お互いの基本的な意見・主張を出し合い、その後にお互いの主張に対する意見交換をすべきものです。今回の意見交換会では、橋下市長は在特会の大阪での活動を『やめろ』と否定するばかりで、その根拠を明確に示さなかった。一方、桜井会長も橋下氏の挑発に乗ってしまい、論点を整理できず『お前なあ』と暴言を吐くばかり。これではディベートすることはできず、ただの口喧嘩に終わってしまいますよね」
実際に、動画を見てみると、決して感じのいいものではない。大の大人がただ罵声し合った結果、何の結論も出ずに、意見交換会は約10分で終了。見ていても、お互いに何が主張したかったのかわからなかった人も多いはずだ。
なかには、「桜井会長の圧勝だな」といった声も上がっていたが、今回の意見交換会ではどちらに軍配があがったのか?
「話す時間や内容についてルールを決めずに始めた意見交換は、ディベートとは言えません。感情をむき出しにした発言で相手の話を遮ったり、暴力をふるおうとするなど通常のディベートではありえないことです。今回は、そもそも討論になっていないので、勝負にすらなっていないと考えるのが妥当でしょう」
ヘイトスピーチが人に与える不快感、民族を一つとして批判することへの違和感……橋下市長の主張に同調する人も多いと思うが、どうせ対峙するなら、もう少しまともな主張で相手と意見交換し、建設的な討論をしてほしかったものだ。
(文/DMMニュース編集部)