東條英機の直系ひ孫インタビュー「海外に出た日本人の教養が足りないと知った」【後編】

デイリーニュースオンライン

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 太平洋戦争後、東京裁判でA級戦犯として裁かれた東條英機。その直系ひ孫にして神社ライターとしても活動中の東條英利氏がDMMニュースで連載をスタート。それに伴い、敢行されたインタビューでは、その生い立ちを語ってもらった。後編となる今回は、日本人に必要な教養について聞いた。

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――現在はどういった活動をされているのですか。

「今、私は『一般社団法人国際教養振興協会』という団体の理事をしてます。2008年に私は全国8万8000社の神社情報をまとめたポータルサイト『神社人』を一人で立ち上げ、神社情報の体系化を目指し運営して参りました。ある日、私はその『神社人』を基軸とする勉強会を通じ“私たちは日本について当たり前のことを知らないのではないか?”ということに気づきました。つまるところ“教養”が足りない、という結論に達したのです」

――と、言いますと?

「みなさんも経験があるかもしれませんが、外国に行ったとき、外国人から日本のことについて聞かれ、答に詰まったことはありませんか? それはある意味で、日本や日本人であることからの“逃避”とも言え、世界的な見地からは決して評価されません。その意味でも、きちんとした“教養”を身につけることによって、私たちは初めて“日本”について広く知らせることができるのではないかと思うんです」

――でも、一般の人、特に若い人はなかなかそこまでの考えには至らないと思います。

「私の場合、家柄が家柄なものでしたから“自分って何なんだろう?”“自分のルーツって何だろう?”と、アイデンティティについて考える機会が他の人に比べて早く訪れたんですよね。“東條英機”というと、権利欲に取り憑かれ、人を蹴落として成り上がっていった人物のように語り継がれていますが、少なくとも私から見た曾祖父はフツーのお爺ちゃんですから。これは父に聞いた話ですが、曾祖父は首相を拝命する際、本当は退役するつもりだったそうです。官邸に呼ばれたときも、最初は「なぜこんなときに辞めるのか」と怒られると思っていたら「首相をやれ」と言われて「小便ちびるかと思った」そうです。

――ところで今、日本では集団的自衛権や特定機密保護法などをめぐり、大きな変化のうねりにさらされている印象があります。

「最近、私は“人の心の怖さ”を感じます。戦時中、新聞が世の中の人たちの気持ちを焚き付けていたように、人の心はどんな方向にも簡単に曲がることが出来てしまいます。よく物事の良し悪しを尋ねられたとき、私は“わからない”と答えることが多いのですが、それは決して無責任ではなく、ある意味、自然な答だと思うのです。なぜなら、物事の本質はそんな単純なものではありませんからね。もちろん、相応のジャッジは必要ですが、大事なのは“考える”という思考の手順で、今の風潮は相応のジャッジはあってもこの思考が疎かになってきているような気がします。翻って、よく政治的に“中庸です”と言う人もおりますが、これはこれで、右も左もキチンと理解しないまま答える人も少なくない。この場合、絶対的な指標を持つことが危ないので、物事は相対的に進めていきましょうという一部教育的な風潮から来ているのかもしれませんが、私には方便だけが跋扈し、ジャッジとなる指標がないまま進んでいる“無”の状態のような気がしますね。要するに、過度か無の両極端で本当の中立が非常に少ない。そういう意味でも安易なレッテル貼りは、思考の単純化を狙ったいい例ですね。ですから、私も一定の答はもちろん示していきますが、本当にどうなのか?という疑念も同時に持ち合わせ続けていきたいと思っております。まぁ、それくらいの余裕がないから最近、世間を見ていても非常に息苦しさというものを感じますからね。もう少し精神的な余裕が欲しいところではあります。」

――確かに、少しでも政治的な発言をすると、すぐに「右翼だ」「左翼だ」というレッテルが貼られ、そこから先に議論が進まないように思えます。

「日本のことを真面目に考える=右翼というレッテルが貼られるようになったのも、新聞やテレビなどメディアの取り上げられ方にもよるでしょうね。必ずしも戦争=日本ではないし、日本人だから戦争を起こすわけでもないのに、中国や韓国の一方的な論調に押され、また国内でタブー視されていることをいいことに、誤った悪い先入観を植え付けられているところは多分にあると思います。熟考に熟考を重ね、それでも“わからない”と余裕を持って対応することが大事なのであって、何事も盲信するのが一番怖い。その意味で、私の家系がたどってきた道が、みなさんにとって何かの気づきやきっかけになればいいなと思います」

 日本人として日本を愛する東條英利氏。次回からは、彼らが日本人に知っておいてほしい日本の文化、教養についてコラムを執筆していただく。乞うご期待!

著者プロフィール

toujyou

一般社団法人国際教養振興協会代表理事/神社ライター

東條英利

日本人の教養力の向上と国際教養人の創出をビジョンに掲げ、一般社団法人国際教養振興協会を設立。「教養」に関するメディアの構築や教育事業、国際交流事業を行う。著書に『日本人の証明』『神社ツーリズム』がある。

公式サイト/東條英利 公式サイト

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