追加緩和で日経平均株価はもう一段階上へ…上昇率ランキングからみる次に狙うべき銘柄

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日経平均株価は次のステージに突入か
日経平均株価は次のステージに突入か

 先月末の日銀の「サプライズ緩和」から10日が経過した。7-9月期のGDP成長率発表(11月17日頃)直後の金融政策決定会合でならまだしも、このタイミングの追加緩和を予想できた人はほぼいなかったのではないか。

 サプライズ色が濃かっただけに、日経平均株価は発表直後の2営業日だけで1500円近くも上昇。10月28日の安値からだと1864円の上昇と、スピード感では昨年4月の異次元緩和を上回る値上がりを見せた。

 しかし、今回の追加緩和は、昨年4月の異次元緩和と比べると規模がだいぶ小さいほか、相場環境も異なっているため、相場の継続性という点では不透明な部分が大きい。ただ、円安が進行していることや米国経済が堅調に推移していること、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国内株や外債の運用比率の見直しを発表したことなどを合わせて考えると、目先は調整したとしても、その後は再び上昇基調となりそうな雰囲気がある。

 黒田日銀体制下の金融緩和といえば、やはり思い起こすのは2013年4月の「異次元金融緩和」、いわゆる“黒田バズーカ”だろう。では、前回の異次元緩和の時にはどんな銘柄がどれだけ上昇したか。2013年3月末から約1カ月間の東証1部の騰落率を表にしてみた。

 個人的なイメージでは、もう少し不動産や金融などの「インフレ関連銘柄」が上位を占めていると思っていたが、意外と業種にもバラつきが見られる。インフレ関連銘柄では、ランド(8918)、SBIホールディングス(8473)、岩井コスモホールディングス(8707)、アイフル(8515)の4銘柄がランクイン。やはり、この順位以下も金融や不動産などのインフレ関連株の上昇が目立った。

 業種がバラついている理由としては、時期が3月決算の発表と重なっていることや、当時はアベノミクス関連としてバイオ株が人気化していたことなどが挙げられる。ランキング第3位のアイロムホールディングス(2372)や第5位の大幸薬品(4574)は、バイオ株人気の流れに乗ってここまでの上昇率を記録したようだ。

 また、表を見て気づくのは、株価が300円以下の低位株が多くランクインしていること。20銘柄中8銘柄、4割が低位株となっている。やはり相場の急騰時には、値幅が期待できる低位株に資金が集中するということだろう。

 では次に、今回の追加緩和発表後の週間上昇率ランキングを見てみよう。今回は、鮮明に不動産や金融、証券などのインフレ関連銘柄に資金が集中していることがわかる。

 また、今回も中間決算発表シーズンにあたるため、業績好調が人気の要因となっている銘柄も散見される。インフレ関連の中にはすでに株価が調整している銘柄が少なくないが、これは平均株価の上昇スピードが早かったことが大きく影響していると思われる。

 実は、金融や不動産関連は内需系企業が圧倒的に多いため、これまでの円安を背景とした相場上昇にほとんど乗ることができていなかった。今回の追加緩和によって、黒田総裁の「何としても物価上昇率の目標を達成する」という姿勢を株式市場に思い起こさせ、それが関連株の人気化につながっていると考えられる。

 2013年4月の異次元緩和では、それまでの相場上昇率が4カ月余りで5割近くに達していたため、異次元緩和後の上昇で過熱感が高まり、結果として2013年5月23日の相場急落、いわゆる「5.23ショック」につながった。今回は、10月の上旬に相場が大きく調整していたため、4月半ばの安値からの上昇率が2割程度にとどまっている。それだけに、上昇スピードの速さはあっても、値幅的にはまだそれほど割高感はない。

 相場上昇スタート時の株価水準が違うため単純な比較はできないうえ、短期的には過熱感が出ているのは否めないが、調整後にもう一段の上昇となる可能性は十分ある。その時には、上昇率ランキングの上位に入っている銘柄の押し目か、あるいは同業で株価が出遅れている銘柄を仕込めば、報われる局面がありそうだ。

※投資にあたってのあらゆる意思決定、最終判断、実際の売買はご自身の責任において行われますようお願いいたします。投資による損失について、本サイトおよび著者は一切、責任を負いません。

新井奈央(あらいなお)
マネーライター。株式評論家・山本伸のアシスタントを務め、株や経済を勉強。その後フリーライターとして活動し、株や為替などを中心に投資全般の執筆を手掛ける。マネー専門のライターとして雑誌や書籍などの執筆で活躍中。そのかたわら、銘柄の紹介にも携わり、夕刊フジの月間株レース「株−1グランプリ」では、出場3度のうち2度、月間チャンピオンの座についている。

(Photo by Dick Thomas Johnson via flicker)

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