中年汁男優を描いた映画『おやじ男優Z』はなぜ高評価なのか (1/6ページ)

東京ブレイキングニュース

中年汁男優を描いた映画『おやじ男優Z』はなぜ高評価なのか
中年汁男優を描いた映画『おやじ男優Z』はなぜ高評価なのか

※汁男優とは?

AV撮影の際にカメラのフレームの外側で待機し、ここぞという場面で "発射" するだけの最下層のAV男優で、原則として女優の身体に触れる機会すらない。 1発あたり2~3,000円が相場。

 ところが、この作品は今年2月に『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2014』に出展したところ、客入りで苦戦したのは初回だけ。2回目は多数のリピーターと口コミで大盛況となり、満席+立ち見で主催者から「もう客を入れるな」と注意されるほどだったという。

 しかし、この映画には大きな弱点があった。監督もプロデューサー陣も、一般作品の広報・営業といった興行のノウハウが殆どなかったのだ。というのも、監督の池島ゆたか氏はピンク映画だけを120本以上撮り続けてきた「ミスターピンク」と呼ばれる人物で、ピンク映画業界の事しか知らない。またプロデューサーの空乃氏など、たまたま事情があって池島監督に金を出しただけで、普段はAV女優のサイン会に並ぶのが趣味の、単なるレズAVオタクである。

 それ以外のスタッフ・出演者の大多数も、池島監督の挑戦を意気に感じて集まったピンク映画業界の人間ばかり。そんなメンバーで場当たり的にどうにかしようとしているのだから、公開に漕ぎ着ける事すら至難の業と言うしかない。

 ピンク映画の場合は、撮影が終わった後は宣伝から上映まで配給会社に任せきりなので、池島監督および池島組のスタッフは、一般作品を興行化する方法を泥縄で学んでいったも同然だった。そんな実にインディらしいドタバタを経て、夕張の映画祭から8ヶ月後にやっと劇場公開が決まる。

 結果から言うと、こんな不安要素しか見当たらない映画『おやじ男優Z』は、渋谷ユーロスペースでの初上映に大成功。ここでも上映期間中に何度も観に来るリピーターが出現し、彼らがSNSで情報を拡散してくれたお陰か、館内が立ち見客で溢れかえるほどだった。

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