自民党圧勝で国策相場が幕開け…株式市場関係者が注目する2015年前半のイベント

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ソフトバンクの人型ロボ「Pepper」画像はホームページより
ソフトバンクの人型ロボ「Pepper」画像はホームページより

 2014年もあとわずか。そこで今回は、どこよりも早く来年2015年の注目イベントを挙げ、それぞれの注目ポイントを列挙していきたい。

1月

 まずは1月5日の大発会。2000年~2014年の15年間で、1月の日経平均株価は上がった年が5回、下がった年が10回と、やや分が悪い展開になっている。ただ、1月から3月頃までは同じ相場のトレンドが続く年が多く見受けられるため、1月の動向を見て春先頃までの投資戦略を立てると良いかもしれない。

 ちなみに、同じく2000年以降、大発会当日は2001年、2008年、2014年の3回以外はいずれも上昇。いわゆる新年の“ご祝儀相場”は間違いではないことがわかる。

 1月は、続いて9日に米国の雇用統計(12月)発表を控える。今月発表された11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が32.1万人増と市場予想を上回る内容となった。これによって、現時点では年中頃と予想されているFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが早まるとの見方が浮上。さらに、12月の雇用統計、1月末に発表予定の米10-12月期GDPの内容が良ければ、“利上げ前倒し論”が一層強まると推測される。そうなると、為替や株式相場への影響も小さくはないだろう。一段と円安が加速する可能性がある一方、利上げをきっかけに投機資金がリスクオフの姿勢を強め、株式市場が調整局面入りするとの声も聞かれる。

 同じく、1月中旬から下旬にかけて、中国の10-12月期GDP成長率の発表がある。もはや中国の成長減速は規定路線となっており、中国政府自体もそれを認めている。とはいえ、中国経済の動向は鉄鋼や原油など資源価格への影響が大きいだけに、下落が続く原油市場の先行きも含め注目しておきたいイベントだ。

 さらに注目必至なのが、日本の通常国会の開幕である。選挙で自民党が圧勝し、今後は政府の政策に注目が集まることになるが、先の臨時国会で廃案になった法案や、一向に進まないアベノミクスの成長戦略に関する法案を押し進められるかどうかがポイントだろう。

 エコノミストや経済評論家からは「さすがにこの通常国会から溜まりに溜まっていた成長戦略が進展するのでは」との声が聞かれるが、これまで裏切られ続けてきただけに心配は心配だ。

 もし、成長戦略の本格的幕開けとなれば、“国策に売りなし”の格言通り、株式市場では政策に絡む銘柄が人気化すると思われる。個人的には、国家戦略特区法や労働者派遣法の改正、個人保証の原則禁止が盛り込まれた民法改正などに注目しているが、その他にも東京五輪・パラリンピック特別措置法、カジノ法案などが株式市場でも意識されそうだ。

2月

 2月に入って見逃せないのが、日本の10-12月期GDP成長率の発表。7-9月期のGDP成長率は、民間シンクタンクの予想を大きく下回る結果となったが、意外と外国人投資家の見通しはそう悲観的ではなさそうである。というのも、11月の第4週には日本株を若干売り越した外国人だが、12月第1週には再び大幅な買い越しに転じたからだ。

 もっとも、10-12月期まで悲惨な内容となった場合、さすがに「円売り・株売り」の“日本売り”が加速する可能性は否めない。現在、安倍首相はGDPの6割程度を占める個人消費の増加や、地方創生を中心とした経済対策を策定中だが、10-12月期の内容によってはもう一段の経済対策に踏み切る必要に迫られるかもしれない。

 もう一つ、2月で注目したいのが東京オリンピックの大会基本計画の発表である。現在、予算不足などで規模縮小が叫ばれるなか、実際に会場の建設計画やその他の整備がどうなるのか、この基本計画で明らかになる。これまで、オリンピック関連として建設株が人気化する局面があったが、この基本計画によって、より具体的な銘柄選別が進む可能性があるだろう。

 また、ソフトバンクの人型ロボ「Pepper」の販売状況、さらには介護ロボットへの公的保険適用対象の拡大が進めば、ロボット関連株人気が再び高まるかもしれない。

3月

 3月の注目イベントは、北陸新幹線の開業。北陸新幹線をはじめとした整備新幹線は、政府が担当大臣まで設置して推し進めようとしている「地方創生」には不可欠なインフラ整備と言える。この北陸新幹線の開業によって、北陸地方にどのような好影響が出るか、どのような企業が潤うのかなどをチェックすることで、ここから先の地方創生策で恩恵を受ける銘柄が見えてきそうだ。

 また、同月半ばに予定されている公示地価の発表では、「資産インフレ」が実際に起きているかどうかが確認できる。これをきっかけに、土地や不動産などの資産を多く抱える銘柄や不動産流動化を手掛ける銘柄、REIT(不動産投信)人気が高まる展開になることも十分考えられる。

 そして、2014年の株式市場ではさほど大きな話題にはならなかった「ウェアラブル」関連株。アップルが満を持して発売する「アップルウォッチ」が売れ行き好調となり、ウェアラブル製品が世の中に浸透する契機となるようなら、ウェアラブル関連株が見直されるシナリオも浮上しそうだ。

5・6月

 5月はsimロック解除の義務化を前にして、MVNO(仮想移動体通信事業者)人気が高まる局面がありそうだ。

 そして6月にドイツのバイエルン州で開催が予定されているサミットでは、円安加速など為替相場の動向に対する言及があるか、共同声明が盛り込まれるかどうかに注目。

 現時点では、円安によって日本の輸出企業の競争力が高まり、貿易収支が改善するという構図になっていないため、世界の主要国も円安に対する明確な懸念を打ち出してこないというのが実情だろう(韓国だけは別)。これが、円安効果によって日本の貿易収支の改善が鮮明となれば、おそらく主要国も黙ってはいないはずである。

 これまで、株式相場は金融緩和や円安によって支えられ、大幅高を演じてきた。2015年は成長戦略や経済対策、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)など、政策による上昇相場の継続を期待したいところだ。

新井奈央(あらいなお)
マネーライター。株式評論家・山本伸のアシスタントを務め、株や経済を勉強。その後フリーライターとして活動し、株や為替などを中心に投資全般の執筆を手掛ける。マネー専門のライターとして雑誌や書籍などの執筆で活躍中。そのかたわら、銘柄の紹介にも携わり、夕刊フジの月間株レース「株−1グランプリ」では、出場3度のうち2度、月間チャンピオンの座についている。

(Photo by Jacob Ehnmark via flickr)

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