「寄生獣」は中国ではNG…ワンダーフェスティバルで見た日中キャラ力の差

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「艦これ」をはじめ人気のキャラが勢ぞろいしたワンフェス(写真/孫向文)
「艦これ」をはじめ人気のキャラが勢ぞろいしたワンフェス(写真/孫向文)

 2月8日に幕張メッセで「ワンダーフェスティバル2015」が開催されました。これは、美少女フィギュアやロボット、戦闘機や街並み、特撮、動物、怪獣、スチームパンク……など、造形にまつわるものであれば何でも展示される祭典です。

 その中でもとりわけ人気を集めていたのは、『ラブライブ』や『進撃の巨人』、『奇生獣』、『艦これ』など、人気アニメや漫画、ゲームのキャラクターでした。

 コミケに参加する同人誌作家のように、このイベントにも多くのアマチュア造形師たちが、作品を出展していました。会場は3つのホールに分かれ、そのうち2つのホールは企業ではなく、個人造形師による作品の展示会場でした。

 玩具会社の社員もたくさん来ているため、その作品が認められれば、ひょっとしたら、何万という単位で量産化されることになるかもしれません。このように、日本には豊かなキャラクターが無数に存在し、クリエーターにとっても一獲千金の夢があるからこそ、造形文化は発展しているのだと実感しました。

人気キャラクターが存在しない中国

 中国には、こういう造形のカルチャーがありません。なぜなら、そもそも、人気キャラクターが存在しないからです。中国のキャラクターの貧困さをご説明するうえで、今回のイベントで「中国だとあり得ない」と感じる模型について、幾つかご紹介していきましょう。

 まず、こちらの「河童」のキャラクター。なぜ、これが中国であり得ないかというと、中国では、毛沢東が文化大革命の際、「封建迷信を禁止する」と定めました。そのため、今でも、妖怪などのような架空の生物をキャラクターとして使用することが困難なのです。

 元をたどっていくと、中国にはたくさんの不思議な逸話が村々にありましたし、竜をはじめとする幻獣が存在しているというのに、それが漫画やアニメのキャラクターとして生かせないのです。

 お次は、この「人間蟲」のキャラクター。こちらも妖怪と同じく架空の生物に当たりそうですが、それ以上に問題なのが、このグロテスクさです。中国であれば、「子どもに悪影響を与えるため、不健全」という理由によって却下されるはずです。中国におけるキャラクターはかわいらしくて、無害なものでなければならないのです。

 そして、こちらは『3月のライオン』をモチーフとしたフィギュアですが、これも中国では生まれ得ないものです。というのも、中国では、学生恋愛はNGとされています。この漫画の中には恋愛要素も入っているため、中国ではこういう作品が描けないのです。

 また、今回のイベントにおいては、18禁フィギュアのブースも大人気でした。今回、たくさんの人が並んでいて、待ち時間が長かったため、僕は入るのを諦めたのですが、これも中国だとあり得ないのは言うまでもありません。中国ではエロは違法です。

 何だか書きながら、中国人であることが空しくなってきました……。日中のキャラクタービジネスについてはまだまだまだ書ききれていないので、次回も引き続き、書いていこうと思います。

(構成/杉沢樹)

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

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