旧式兵器「博物館」から脱却!? 北朝鮮がステルス艇や無人機開発に夢中

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2012年にお目見えした北朝鮮の無人機
2012年にお目見えした北朝鮮の無人機

 北朝鮮が、新兵器の開発に力を注いでいる。デイリーNKジャパンの高英起編集長はこう話す。

「北朝鮮は最近、新型対艦ミサイルやステルス艇の特徴を備えた新たな高速艇を開発しています。しかも、それらの鮮明なカラー写真を朝鮮労働党機関紙『労働新聞』の紙面などで積極的に公開している。その目的は米国や韓国、日本に対する威嚇や国威発揚が考えられますが、純粋な意味で新たな形の軍事力を求めている部分もある」

 その証拠と言えるのが、最近発表された新たな方針だという。北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会は2月10日、政治局会議を開催し、様々な政策を盛り込んだ決定書を採択した。

 その中で、先端兵器の開発推進について次のように述べているのだ。

「現代戦の要求に即した精密化、軽量化、無人化、知能化されたわれわれの方式の強力な先端武力装備をより多く開発し、国防工業を最新科学技術の土台の上にしっかり引き上げる」

 北朝鮮の朝鮮人民軍は兵力や装備の数は多く揃えているものの、そのほとんどが「骨董品レベル」だと言われている。旧ソ連や中国から輸入した、ひと世代もふた世代も前の兵器や武器も少なくない。核兵器の開発に尽力してきたのも、通常兵器ではもはや、ライバルの韓国に太刀打ちできないからだとされてきた。

米軍コピーの無人機は高度1万メートル以上飛行可能?

 しかしその一方、かなり早くの段階から無人機を開発し、前線で運用してきたのもまた事実なのだ。たとえば、2014年3月にはキヤノン製のカメラを搭載した小型の機体が軍事境界線の南側で墜落。韓国政府は同機が北朝鮮から飛来したと見ている。

「朝鮮人民軍は慢性的な経済難のため、装備の更新も満足にできていません。それでも貴重な予算を効率的に使うべく、緻密な計算の下に兵器開発を行っているフシがあります」(軍事ジャーナリスト)

 具体的には、どのような兵器が作られているのか。まず、韓国軍が警戒を強めているのが「半潜水艇」だ。北朝鮮の80年代から、特殊任務用の半潜水艇を運用してきた。中でも最新のタイプは、船体のほとんどを水没させ、水上に数十センチだけ露出した上部にはステルス性のコーティングをほどこしてある。

「こうした半潜水艇の任務は本来、工作員の運搬および浸透支援に限られてきた。その運用方針が最近、変わったような兆候がある。数種類が確認されている半潜水艇のうち新型とさるタイプは魚雷発射管を装備していることがわかった。おそらく、米軍や韓国軍の艦艇を待ち伏せしようというのでしょう」(同)

 そして、2012年4月の軍事パレードで登場し、軍事専門家を驚かせたのが無人機だ。韓国からの情報によると、北朝鮮は第三国を経て、米国製の高速標的機「MQM-107D」を入手。それをベースに、偵察・攻撃力を備えた機体を開発したとされる。

 北朝鮮はほかにも、ロシア製の「プチェラ」や中国製の「D-4」などの無人機を導入している。ただ、プチェラが小型で武装できず、D-4は上昇限度3000メートル、最大速度170キロと飛行能力が低いのに対し、MQM-107Dは上昇限度1万2000メートル以上、最大速度は925キロにも達する。韓国全土は言うにおよばず、日本でも九州北部や山陰地方は十分、飛行できる距離だ。これを基に作られた北朝鮮の無人機がどんな任務を与えられているのか、大いに気になるところだ。

(取材・文/承山京一)

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