勝手に選定…プロ野球キャンプ・小ネタ報道大賞2015|プチ鹿島コラム

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勝手に選定…プロ野球キャンプ・小ネタ報道大賞2015|プチ鹿島コラム

 毎年2月になるとスポーツ紙・週刊誌で盛り上がるのが「プロ野球キャンプ」。劇的な出来事が毎日あるわけではない。いかに切り口で勝負できるか、記者の腕の見せ所でもある。先月1ヶ月間、私は新聞各紙を読み比べてみた。今回は勝手に「プロ野球キャンプ 小ネタ報道大賞2015」を選定する。

この時期のオヤジジャーナルは「プロ野球キャンプ」が鉄板

《広島不吉… 恵方巻きの呪い?》(東スポWeb 2月5日)

 大賞はこれだ。2月のキャンプ中に訪れる「節分」。各球団が記事づくりに協力し、翌日のスポーツ紙は豆をまく選手もいれば恵方巻にかじりつく選手もいて華やかな紙面となる。東スポは「その後」に注目。広島のキャンプでは、新助っ人が恵方巻きを食べるのが恒例行事となっているが、その役割を担った助っ人がなんと「3年連続で負傷離脱に追い込まれている」という衝撃の事実を伝えた。

・今年はザガースキーが右足首負傷

・昨年はフィリップスがシーズン途中に左ヒザを負傷して帰国

・2年前はソコロビッチが左ふくらはぎの張りのためキャンプ中に離脱

 共通するのは「新外国人」で「中継ぎ投手」。やはり“恵方巻きの呪い”である。間違いない。来年誰が恵方巻を食うか注目。さて、次に唸った記事はこれだ。

《ハム「いしかわりょう」悪夢ホールインワン》(日刊スポーツ・2月18日)

 何かと思ったら、ゴルフの石川遼と同じ読み方の名前である日本ハムの「石川亮」捕手が、相手打者のファウルが股間を直撃してもんどり打って倒れ込んだという「事件」。ゴルフつながりで、股間直撃とホールインワンをひっかけた直球勝負!清々しい。この手の報道では「”チン”プレー」というフレーズがお約束だが、日刊スポーツは遂に一線を越えた。

 直撃インタビューが光ったのは日刊ゲンダイ。今年は黒田博樹が広島カープに復帰して大フィーバー。「男だ!」「金じゃない!」と世間が感動するなか、「黒田が戻ったのは(折り合いが悪かったといわれる)野村監督が退任したからですか?」と球団本部長に下世話な質問をするゲンダイ師匠がブレていなかった。素敵だ。なお、本部長は力強く否定。

 私はスポーツ紙・週刊誌を「オヤジジャーナル」と呼ぶ。ひとつの特徴はダジャレ見出しが多いこと。それを考えると良い補強をしたなぁと思ったのがスポーツニッポンだ。スポニチは元芸人の記者にキャンプ巡りの連載をやらせていた。ただの芸人ではない。かつて「回文」(上から読んでも下から読んでも同じ音で、意味が通じる文)をネタに、「エンタの神様」等で活躍したコンビ「レム色」の渡辺剛太記者である。

 さっそくソフトバンクを訪問し「うそ!? 工藤独走!?」と回文見出し、ヤクルトには「成瀬 最下位 させるな」、楽天には「改革期 大久保指揮し ぼく大きく開花」、広島には「感涙だろ!苦しみ知る 黒田いるんか」と回文をつくった。渡辺記者は野球記者1年目というが、今年のスポニチ野球面の回文見出しは要注目だ。

 以上、「プロ野球キャンプ 小ネタ報道大賞2015」をお送りしました。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)。

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