【住民投票】大阪都構想の前にそもそも「都道府県」って何?

デイリーニュースオンライン

都構想公式HPより
都構想公式HPより

 政令指定都市の廃止を問う全国初の住民投票が、17日に投開票される。言うまでもなく、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問うものだ。

 結果は結果。だが今回の選挙で多くが感じたことを大阪市民に代弁してもらえば、

「市と都と、どう違うん? いや、そもそも都道府県ってなんやねん?」

 ということでは無かったか?

 ……日本史の授業中に居眠りをしていた向きも、「幕藩体制」から明治新政府になって「廃藩置県」が行われたことはご存知のはず。明治元年から多少の改革を経て、1871年には重要視された東京、大阪、京都の3つに「府」が付けられ、その他の藩や行政区はすべて「県」へ。「県」は訓読みすれば「あがた」で、「地方」という意味。「府」は古代から「役所」「みやこ」と同義だ。

「都」だけが異端?

 当初「302」も存在した県は、後の統合・分立によって現在と同じ「43」となった。県には大き過ぎるため、より広域を示す「道」が付けられた北海道(注1)はいいとして、問題は「府」と「都」の関係だ。上記のように当初は東京、大阪、京都はすべて府で、まったく同格であった。

 「都」誕生のキッカケは、今回も橋下徹・大阪市長が強調した点と同じ(注2)。明治22年以来、東京府と東京市が存在したが、首都に於ける二重行政が問題視され、早くから「東京都」構想は提唱されていたのだ。だが、これも今回同様に猛烈な反対も多く、数十年間も進展が無かった。実際に東京都が誕生するのは、戦時下で国家の強制力が強まった昭和18年のこと。どこにも由来の無い、日本独自の行政区画となった。

 つまり今回の投票を別の確度から見れば、こんな見方も成り立つわけだ。

「なんや。歴史と伝統のある大阪府が、新興でイビツな東京都のマネするんか?」

 ……現在の法律では、1都1道2府43県の権限の違いはなく、完全に同格。しかし歴史的経緯や実際の人口や経済力から、無意識に都>府>県という序列を付けがちだ。橋下市長の原動力も、心理的コンプレックスが燃料になったようにも見える(注3)。しかし住み易さや土地への愛着は、由来や経済指標で決まるわけでもない。

 行政区分がどうなろうと、<人が気さくでオモロクて、たこ焼きが旨い>といった大阪らしさを失わないで欲しいと…東京で生まれ育った筆者だが、思う。

(注1) 北海道…かつては函館県、札幌県、根室県が存在した。
(注2) 橋下市長が強調…むしろ都誕生時の「二重行政」批判を大阪にあてはめた印象。
(注3) コンプレックス…「東京のように」といった発言が多い。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。DMMニュースではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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