「遺体をレンタカーで火葬場に」親の葬儀代すら払えない貧困中高年の実態 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

火葬場直行なら10万円程度の費用で済む

「看護師さんの話では“直葬”といって8万円程度で病院から自宅への運搬、自宅から火葬場への運搬。自宅での簡易な祭壇の設置まで賄える葬儀会社のプランがあるとかで。それを個人的に教えて頂き申し込みました」(同)

 その後は火葬だ。民間火葬場だと火葬料は約6万円が相場だという。もし親類縁者や友人など関係者を呼ぶならば待合室の使用料もかかる。これは、「2万円から5万円程度」(大手葬儀会社)だ。火葬後の骨壷代は1万5000円程度である。

「民間業者だと高いので公営火葬場にしました。自治体のものは火葬料も待合室料も0円、タダで済みました。骨壷は葬儀会社に用意して貰いました。その額は5000円と消費税だったと記憶しています」(山本さん)

 火葬が終わると葬儀会社が家まで送ってくれる。自宅に簡易な祭壇をしつらえて貰う。ここまでの費用の合計は、以下の通りだ。

[父親の死亡時にかかった出費]

  • 死亡診断書(病院) 7000円
  • 葬儀会社に支払ったサービス代金 8万円
  • 公営火葬場での火葬料 0円
  • 骨壷 5000円

合計 9万2000円

 ここまでが「人が死んだ場合に最低限度必要なコスト」だ。約9万円といったところか。探せば5万円からもあるというが、これは火葬時、公営自治体によってそのコストが異なるからだろう。10万円程度、用意しておいたほうがいざという時、安心だ。

墓や納骨堂への埋葬は義務ではない

 火葬の後、遺骨は自宅にずっと安置していてもいい。かならず埋葬しなければならないということではない。ただし、海や山に遺骨を勝手に埋めてはいけない。近年、よく耳にする海や山などへの散骨も自治体などの許可を得て行なっているものだ。

 遺骨を埋葬するならば市区役所で「埋葬許可証」を発行して貰う。その額は300円というのが一般的だ。墓ならば最低50万円以上、納骨堂なら1年間で10万円から、海への散骨ならば5万円から20万円程度が相場である。

 これ以外にも戒名をつけて貰うなど、費用をかけようと思えばいくらでもかけられる。

「ひとまず親が亡くなった際、10万円で済みました。戒名も墓もありませんが。でも正直、父が亡くなった今、父の年金収入も途絶え、これから再就職といっても年齢的にも厳しいです。経済的不安が尽きません」

 困っている国民ひとり助けられない経済大国──国会は新安保法制で揺れたがその前にするべきことが政治にはある。今、政治に求められているのは目の前の困っている国民に手を差し伸べることではないか。早急に手を打って貰いたい。

(取材・文/秋山謙一郎)

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