日歯連で再び逮捕者…圧力団体の“巣窟”となった「参院比例区」改革の必要性

事件の舞台となった日歯連のHPより

【朝倉秀雄の永田町炎上】

また逮捕された「日歯連」の悪い奴ら

 世に“政治とカネ”を巡る悪事は絶えない。東京地検特捜部は9月30日、虚偽記入・量的制限違反容疑で「日本歯科医師連盟(日歯連)」の前会長で、「日本歯科医師会長」の高木幹正と日歯連元会長の堤直文、副理事長で会計担当者の村田喜信の3名を逮捕した。容疑者らは、政治資金規正法政治団体間の寄付の法定上限額を超える寄付を隠蔽するため、政治資金収支報告書に虚偽記載をしたとされている。

 カネの流れは一見、複雑なようだが、そうでもない。全国の歯医者らで作る「日本歯科医師会」の政治団体である「日歯連」は2010年の参議院比例区に民主党の西村正美を、2013年には自民党の石井みどりを組織内候補として擁立。その際、「西村まさみ中央後援会」と「石井みどり中央後援会」なるものをデッチ上げ、日歯連からそれぞれ1億円と9500万円を実際には「直接寄付」した。だが、それだと政治団体間の寄付の上限額を「5000万円まで」と定めた政治資金規正法に違反してしまう。そこで会計担当の村田は高木らと共謀して悪計を巡らし、西村については半額の5000万円を西村が支部長を務める「民主党参議院比例区第80支部」を、石井についても党の違う西村の後援会をそれぞれ「経由」したように装い、政治資金収支報告書にも事実に反する記載をしたというものだ。いわゆる「迂回献金」である。

 二つの後援会と日歯連とは場所も役職員も共通。選挙の時にしか活動せず、実態は無きに等しいから、カネの出し入れも単に銀行口座と帳簿上の操作に過ぎなかったと思われる。時期によって異なる政党に肩入れしているのは、常に時の政権与党にくっついて甘い汁を吸おうとする打算の現れだ。

 日歯連の“悪事”は今に始まったことではない。2002年の診療報酬改定の際にも中央社会保険医療協議の委員に対し、歯科医に有利な発言をするように依頼し、賄賂を送ったとして幹部5名が起訴されている。この前年の2001年8月にも歯科医あがりの衆議院議員・吉田幸弘が日本歯科医師会の会長選での買収資金として、日歯連から自分の資金管理団体に3000万円を寄付させてこれを横領。さらに2003年9月、2か月後の総選挙で吉田は自分への投票を依頼し、対価として地方議員らに各200万円ずつ渡したとして業務上横領と公選法違反の「買収」の容疑で起訴され、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を受けている。

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