人権団体の「AV女優強制出演」報告書が各方面から非難される理由

人権団体の「AV女優強制出演」報告書が各方面から非難される理由

 今回も人権NGO団体『ヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)』が発表した報告書「日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害」と、その記者会見の内容の疑問点について指摘する。

 前回は、HRNがまったく理解できていないと思われる「AV業界のヒエラルキー」や「村ルール」等について説明したが、ここで取り上げたいのはHRNの活動が、女性差別や女性の人権侵害に直結するという点と、HRNが犯したミスについてだ。

 誘導のようで申し訳ないが、私個人のHRNに対する印象を先に述べておく。

(1)HRNは女性の職業選択の自由を認めていない
(2)HRNは自分達にとって望ましい生き方の出来る女性しか認めない
(3)HRNは女性が多種多様な価値観を持つことを認めない
(4)HRNはAV業界がすでに法で雁字搦めにされている現状を知らない

 では、どうしてこのような結論に至るのかを説明していく。

■(1)~(3)について

 HRNの中心人物らが発した言葉の中で特に見過ごせないのは「AV女優は出演を強制されている」などで、AV女優らからの反論を受けて「彼女達はそう言わされている」などと発言してしまったことも、ここに含めて良いだろう。

 本来ならば、業界内部の人間(特に女性)の意見は、真っ先に聞き取りせねばならない重要な情報のはずなのだが、HRNは「AV女優を救いたい」と言っている割に、肝心のAV女優の言葉に耳を傾けようともしない。この姿勢がいかに差別的で、他者の自主性や価値観、すなわち人権を認めない行為かご理解いただけるだろうか。

 HRNが掲げている目的が本心からのものであるならば、まずやらねばならないのはAV女優達1人1人と向き合い、彼女達がどんな思いで、またどんな事情や経緯で、裸商売を選択したのか "知ること" である。当事者の声を聞いて回るという行為は、弱者問題や差別問題を扱う上での基本中の基本なのだから、これは至極当然の話だ。

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