筆者が執筆した記事で「無縁仏」という言葉を使う場合、引用文以外は極力括弧を付けて書き、更にはできるだけ「どのような意味合いか」の注釈を付けるようにしている。 なぜ、このような表現にするかというと、この「無縁仏」という言葉は、実は時代的宗教的な背景、あるいは時と場合によって、かなり違う意味合いになってきた歴史があるからである。更にいうと、そもそも本来の仏教に由来する概念ですらない。
■無縁仏は「供養する方がいない死者」という意味だけではない
現代日本では「無縁仏」という言葉は主に「いわゆる『墓を守る身寄り』のない死者」の意味で使われる。しかし、それは決して普遍的でも絶対的でもなかったのである。
ところが、現実ではこの「『墓を守る身寄り』のない死者」という意味の「無縁仏」イメージが、絶対化してしまっているきらいがある。その結果、この意味合いでの「無縁仏」概念が呪縛となり、様々な抑圧やトラブルの要因になってしまっている面も、少なくない。
このことは、一度何らかの形できちんと問い直されることが、必要なのではないか。そう考えているからこそ、筆者は「無縁仏」という言葉を扱う際には、「どのような意味合いか」ということを、極力明らかにして使うよう心掛けている。
■無縁仏と似た「アジクェーグヮンス」とは?
ところで、そうした現代日本的な意味の「無縁仏」概念と、共通点もあるが少し異なる概念が、沖縄には幾つか伝えられている。その概念とは、「イナググヮンス」や「アジクェーグヮンス」、「ウヤヌフチュクル」などである。
「イナググヮンス」と「ウヤヌフチュクル」については、長くなるためまた稿を改めて書こうと思うが、「アジクェーグヮンス」は、挙げた中でも特に、現代日本で使われる「無縁仏」概念との共通点が多い。そのため、ここで書こうと思う。
■供養する方がいない位牌を一時的に親戚等に預けることを言う
アジクェーグヮンスは、いわゆる標準語では「預かり位牌」などと呼ばれる通り、「預かられている位牌」や、その位牌の主である死者を指す。
沖縄の伝統的な位牌は、いわゆる「先祖代々の霊」を祀るものである。その位牌が、なぜ「預かられる」のか。
沖縄に伝わる「アジクェーグヮンス」 別名「預かり位牌」とは?
2017.01.27 19:00
|
心に残る家族葬
ピックアップ PR
ランキング
総合
社会
1
「西洋医学×漢方×手相」という異色アプローチ 標準治療では救いきれない患者と”科学的根拠”の境界線
TREND NEWS CASTER
2
「個人が変わっても組織が変わらない」のはなぜか? エグゼクティブ・コーチングの盲点を突く「社長+幹部一体型」の勝算
TREND NEWS CASTER
3
なぜビル清掃予算は「30〜55%」も消えるのか?多重下請け構造の限界 ――多重構造の無駄を省いた「科学的清掃」の勝算
TREND NEWS CASTER
4
「受診者が最大3倍に」150円の自己負担でも断る人が皆無だった理由 ――がん検診の「心理的ハードル」を下げる環境整備
TREND NEWS CASTER
5
なぜ都市部で「園庭を知らない子ども」が増えているのか? 私立保育所の7割が園庭なしの危機と、幼児教育が向き合う「体験格差」
TREND NEWS CASTER
6
なぜ「AI PC」はビジネス価値に転換しきれていないのか? ――クラウドの課題を克服し、ローカル処理が迫る「業務基盤の再設計」
TREND NEWS CASTER
7
AIとロボティクスの融合がもたらす創薬プロセスの「最前線」 新薬開発における自動化と人間の役割
TREND NEWS CASTER
8
ブームに沸く「一棟貸し」で、いま勝ち残るビジネスモデル ――1000坪の古民家再生にみる、地方宿泊のニーズ変化と運営のリアル
TREND NEWS CASTER
9
なぜ夏は朝から疲れているのか? 猛暑・熱帯夜に負けないための睡眠対策とケアの視点
TREND NEWS CASTER
10
住宅リフォーム「価格だけで選べない」時代の到来――進む“シンナー不足”と業界の新たな課題
TREND NEWS CASTER