世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第207回 雇用の問題

| 週刊実話

 新たにアメリカ大統領に就任したドナルド・トランプは、1月11日、当選後初の記者会見において、
 「最も多くの雇用を創り出す大統領になる」
 と、新政権における抱負を述べた。

 国民は生産者として働き、モノやサービスを生産。顧客に消費・投資として支出してもらい、所得を稼ぐ。生産者は稼いだ所得を持ち、今度は顧客側に回り、別の生産者が生産したモノやサービスに、消費・投資として支出する。すると、別の生産者に所得が生まれる。
 この所得創出のプロセスが回り続けるのが「実体経済」である。すなわち、実体経済とは「雇用」そのものと表現可能だ。

 企業が外国に直接投資を実施し、安いコストで生産を実現。その場合、企業が利益を稼いだとしても、生まれているのは「外国の雇用」である。
 あるいは、国内で生産できるものを、わざわざ外国から輸入した場合、生産者はやはり外国の労働者になる。本来、製品の需要に対し、国内で生産が行われるならば、国民の雇用になるはずなのだが、輸入ではそうはいかない。

 特に問題なのが、前々回にも取り上げたが、「対外直接投資+輸入」の組み合わせ、いわゆる「逆輸入問題」である。例えば、アメリカがメキシコから自動車を逆輸入した場合、
 「アメリカ国民の雇用が生まれない」
 「需要が奪われている(アメリカの需要に対し、メキシコの生産者が供給している)」
 と、二重の意味で国民経済(実体経済)はダメージを受けてしまう。

 無論、経済が適切なインフレ率の下で成長を続け、国内が完全雇用状態になっているならば話は別だ。完全雇用でありながら、それでも需要の方が旺盛。その場合、企業が外国に工場を建設し、製品を逆輸入することは「国民経済的」にも正当化される。とはいえ、現実は異なる。
 企業の「対外直接投資+輸入」拡大は、単に企業や株主の「利益最大化」のために行われているにすぎない。そして、なぜ企業が利益最大化を目指すのかといえば、もちろんグローバル株主資本主義が横行してしまったためである。

 グローバル株主資本主義の横行は、特に先進国の「若い世代」に負担を強いている。

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