9月14日、日本郵便で働く3人の契約社員が、正社員と比べて不当な待遇を受けているとして、会社を訴えた事件の判決が東京地裁で下された。
東京地裁は、「正社員と契約社員の間には、職務内容や配置変更の範囲に差がある」として、夏期年末手当、夜間特別手当、祝日給などで格差があることは不合理とは言えないとする一方、年末年始勤務手当、住居手当、夏期冬期休暇、病気休暇を契約社員にまったく与えていないことに関しては不合理な格差だと認定した。その上で、年末年始勤務手当は正社員の8割、住居手当は6割を支給するよう求めた。
いったい何が基準で、契約社員にも年末年始勤務手当や住居手当だけを支払うべきとしたのか、よく分からないが、これが裁判所の考える同一労働同一賃金の基準だということだ。
政府が進める働き方改革関連法案のなかでも、同一労働同一賃金が導入されると言われているが、その内容も同じような形になるとみられる。しかし、本来の同一労働同一賃金というのは、雇用形態にかかわらず、時給や手当、福利厚生などあらゆる労働条件を同一にするものだ。
欧米では、ごく普通に実現できていることが、なぜ日本ではこうも複雑怪奇なものになってしまうのか。その原因は、日本の雇用慣行の特殊性にある。
戦後、アメリカのジェイムズ・アベグレンという経営学者が、『日本の経営』という著書のなかで、日本の会社経営が欧米と大きく違っている点は、新卒者が入社のときに彼の残りの人生をすべて会社に委ねてしまうことにある、とした。
その仕組みをアベグレンは、「ライフタイム・コミットメント」と呼び、それが終身雇用制の語源になったとされる。つまり、正社員として就職するというのは、会社という家族の一員になることを意味したのだ。
だから、ひとたび正社員になったら、社員はどこにでも転勤し、どんな職種でも引き受ける。残業も休日出勤も厭わない。その代わりに、会社は正社員の雇用と賃金は、どんなことをしてでも守る。会社と正社員は運命共同体だったのだ。そうした時代には、単なる補助職の非正社員とは、待遇が違って当然だった。
ところが、時代は変わった。正社員が勤務地や職種にこだわるようになり、長時間労働も嫌がるようになった。
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 同一労働同一賃金の難しさ
2017.10.08 14:00
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