「ノーベル文学賞発表 カウントダウン パブリックビューイング」を見るためだ。千駄ヶ谷は村上春樹が創作活動を始めた地。
ハルキストが静かにそのときを待つ、いったいその現場はどんな雰囲気なんだろう。すると、鳩森八幡神社でイベントがおこなわれているという情報を2年前に知る。
初めて行ってみたら、思っていたのと違った。ふつうのおじちゃん・おばちゃんで境内はいっぱいだったのだ。
それもそのはず、このイベントは千駄ヶ谷の商店街の人たちが仕切っていたのである。テレビカメラを向けられたおじさんが「よくわかんねえけど今年こそとってほしいよ」と陽気にしゃべっていた。
クラッカーがたくさん入ったビニール袋を持ったおじさんが近づいてきて「受賞したら鳴らしてね、今はダメだよ」。
横を見れば、すでに一杯ひっかけてるおじさんも。ゴキゲンに商店街の仲間らしき人としゃべっている。その横では、ヤクルトのユニフォームを着たおじさんがクラッカーを握りしめるのも見えた。完全に地域の祭りと化していた。
中継がはじまる。ベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチ氏の名が言われたとき、会場中がポカン。
「え、え?」「なんて言った?」「なんか違うぞ」。
去年もそうだ。
「ボブ・ディラン」という名前が聞こえたあと、商店街を代表してラーメン屋「ホープ軒」のおじさんが「来年がんばりましょう。どうもすいませんでした」とスピーチ。思い出したように境内に笑いが起きた。
「では、来年への期待を込めてクラッカーをみんなで鳴らしましょう」
夜の神社に鳴るクラッカー。
〝文学のことはよくわかんないけど、オラが街にいた村上さんをみんなで応援しようや〟
この雰囲気に思わず親しみを感じてしまった。
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