3月4日に投開票されたイタリア総選挙は、党としては反EUである『五つ星運動』が、下院において32.7%の得票率でトップとなった。ベルルスコーニ元首相が率いるフォルツァ・イタリアを含む中道右派連合の得票率は37.5%。勢力としては、五つ星運動を上回った。
ジェンティローニ首相を擁する与党の中道左派連合は22.9%と、惨敗を喫した。レンツィ前首相は総選挙惨敗の責任を取り、中道左派連合の中心政党である民主党(PD)党首を辞任。過半数を取った勢力がないため、今後は中道右派連合と五つ星運動による連立交渉が行われることになる。
特に中道右派連合において、フォルツァ・イタリアが同盟(旧:北部同盟)の得票数を下回った事実は重要だ。フォルツァが同盟を上回った場合、中道右派連合と中道左派連合が連立する路線もあり得たが、現実にはついえた。
同盟は反EU、反移民である。正直、他国から見ると「五つ星運動とどこが違うのか」と思ってしまうほどに、反グローバリズム色が強い政党なのだ。元々は『北部同盟』の名が示す通り、イタリア北部で強い政党だったが、今回は全国的に支持を広げた。中道右派連合において『同盟』が躍進した以上、イタリアにおいても「反EU」の政権が誕生する可能性が濃厚になった。
もっとも、五つ星運動と中道右派連合の連立政権が誕生したとして、いきなり「EU離脱の国民投票」といった話にはならないだろう。五つ星運動もこれまで掲げていたユーロ離脱を問う国民投票の実施については取り下げた。とはいえ、さすがに「移民問題」については、反EU色、厳密には「反ドイツ色」が濃くなっていくのは間違いない。
さて、今回のイタリア総選挙では五つ星運動、中道右派連合、中道左派連合三勢力のすべてが「財政拡大」を公約として掲げていた。五つ星運動と中道右派連合は、減税と公共投資拡大。民主党までもが財政赤字対GDP比を3%に抑えるEUの財政規律「見直し」を訴えていた。
特に中道右派連合は、一部の公共投資について、「財政赤字から除外し、インフラ投資を拡大する」ことを共通公約にしており、この点は日本も見習うべきだ。
もっとも、イタリアは共通通貨ユーロ加盟国である。
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第263回 イタリア総選挙と「国の借金」
2018.03.20 14:00
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