今年の6月に安倍政権は「骨太の方針2018」を閣議決定する。骨太の方針の中に、例年通り「プライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)黒字化目標」が入ってしまうと、来年の消費税再増税や経済の再デフレ化が、ほぼ決定的になる。
現時点では、達成時期を'20年度から先送りするものの、PB黒字化目標自体は残す。あるいは、今後3年を「構造改革期間」と位置付け、財政健全化の新しい計画を策定するなど、不吉な報道が流されている。
とにもかくにもPB目標が閣議決定されてしまうと、予算の考え方が、
「何らかの支出を増やすならば、他の支出を削るか、もしくは増税する」
という、お小遣い方式に支配されてしまう。日本の場合、高齢化で社会保障支出が増えざるを得ないため、「その分、他の予算(公共投資、防衛費、科学技術予算、教育費など)を削るか、増税」となってしまうのだ。PB目標がある限り、わが国は防災事業や交通インフラの整備、防衛力の強化、科学技術振興や教育の充実に乗り出せないのである。
さらに困ったことに、わが国がPB目標の影響で公共投資、防衛費などを増やせないと、デフレという「総需要の不足」から、いつまでたっても脱却できない。デフレが継続すると、名目GDP(=総需要=総所得)が伸び悩む。
名目GDPが伸びないと、税収が不足する。何しろ、GDPとは需要の合計であると同時に、所得の総計なのだ。われわれが所得から税金を支払う以上、名目GDPと政府の租税収入は強い相関関係になる。デフレ継続でGDPが拡大せず、税収が不足すると、結局は赤字国債を発行して対応しなければならず、またもや「国の借金が大幅に増えた! PB黒字化目標の早期達成が必要だ!」と、デフレを深刻化させる緊縮財政の悪循環が継続してしまうのである。
PB黒字化路線という緊縮財政は、日本国を小国化させ、国民を貧困化させる。それにも関わらず、政治の世界では「国の借金で破綻する」「市場の信認が失われる」といった抽象的な議論で、緊縮路線が推進されているわけだから、情けなくなる。
国の借金とは要するに政府の国債だ。IMF(国際通貨基金)は、中央銀行が保有する「自国通貨建て国債」について、デフォルト(債務不履行)の確率を「ゼロ」と定義している。
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第267回 抽象的な財政議論を排す
2018.04.21 15:00
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