現代では両性の合意によってのみ成立する結婚および離婚ですが、かつては家の都合によって結婚し(時にさせられ)、離婚は男性の意思によってしか出来ません(※女性の意思による離婚は非常に困難)でした。
しかし、言うまでもなく女性にも意思があり、あまりにも理不尽な仕打ちを受ければ、これを恨むのは理の当然と言うもの。
そして積もりに積もった怨みは死んでも晴れず、怨霊となって復讐を遂げる事例もしばしばあったようで、今回は平安時代の説話集『今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)』より、そんなエピソードを紹介したいと思います。
捨てられた妻の悲しい最期今は昔、ナニガシ(原文は欠字)という男がいたそうで、長年連れ添った妻を離縁してしまいました。
「出ていけっ!」
「いったい私が、何をしたと言うの……っ!」
特に不貞(不倫)をはたらいたとか、家財を食いつぶしたなどということもなく、どっちかと言えば出来た(少なくとも落ち度のない)妻だったのですが、とにかく飽きた(別に女が出来た?)のか、問答無用で叩き出してしまったのです。
「うぅ……これからどうすれば……」