9月8日イギリス女王・エリザベス2世が逝去した。これは同時にイギリスにおける最高位の宗教的権威の逝去でもある。イギリスの君主は女王(国王)であると同時に、国教である英国国教会(イギリス国教会/英国聖公会)の「最高統治者」であり、宗教的権威としても君臨している。日本ではあまり馴染みのない事実とその意義を概観したい。
■英国国教会
イギリスには国家公認の宗教、国教がある。それはプロテスタント系キリスト教「英国国教会」である。元々イギリスはカトリックの国だったが、時の国王・ヘンリー8世(1491〜1547)の離婚問題が持ち上がり歴史を揺るがす大騒動に発展した。ヘンリー8世はカトリック信仰が厚く「信仰の擁護者」とまで呼ばれていたが、カトリックでは離婚は認められておらず、ローマ教皇クレメンス7世(1478〜1534)はこれに反対。政治的軋轢も絡み、ヘンリー8世を破門したことで両者の関係は決裂した。ヘンリー8世は1534年「首長令」を公布して国王を頂点とする教会を創設しカトリックから独立した。英国国教会の始まりである。一時期メアリー1世(1516〜58)がカトリック回帰を試みたがその後、エリザベス1世(1533〜1603)の時代に統一令(1559)が出され国教会が定着した。
国教会の僧としての最高位は「カンタベリー大主教」であるが、さらにその上に英国国王が「信仰の保護者」として君臨する。なお、英国国教会とはイングランドに限定され、連合国家であるイギリスを形成するスコットランド、アイルランド、ウェールズにはそれぞれの教会が存在する。
キリスト教は大きく分けてカトリック、プロテスタント、オーソドックス(東方正教会)がある。プロテスタントはルター派、カルヴァン派をはじめ多数に存在し、英国国教会はカルヴァン派に属する(さらにカルヴァン派も3派に分かれる)。国教会はローマ教皇との対立から反カトリックとして独立したが、政治的な理由が主であり宗教的な対立ではなかった。そのため他のプロテスタント諸派と比べると、歴史や儀式を重視するなどカトリックの色合いが残っており、かなりカトリック寄りのプロテスタントということができる。
イギリス君主であり英国国教会の最高統治者でもあったエリザベス2世
2022.09.28 19:00
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