ヘルプマークと赤十字マークに見る宗教性と「慈悲」

| 心に残る家族葬
ヘルプマークと赤十字マークに見る宗教性と「慈悲」

日頃当たり前のように目にする赤十字マークと、近年見られるようになった「ヘルプマーク」について考える。これは病人や障害者など社会的な弱者に対する良心、国や宗教を超えた慈悲が問われる問題である。また同時に赤十字の精神には創立者の宗教性が存在することも確認したい。

■椎名林檎のヘルプマーク騒動

椎名林檎のニューアルバムの特典グッズが「ヘルプマーク」に酷似していると騒動になった。「ヘルプマーク」は義足や精神的な障害など、外見からはわかりにくい疾患やハンデを背負っている人が援助や配慮を求める、東京都が制定した標章である。それと見間違えるような紛らわしいデザインは障害、疾患のあるひとに迷惑がかかる危険がある。この騒ぎを受け販売元は発売を延期する対応を取った。

精神疾患でマークを身に着けている筆者の知人は「積極的な助けは必要ではないが、認識はしておいて欲しい。何かあったら手を差し伸べてくれればといったニュアンスの控え目なサイン」だと話していた。そうした性質のためか行政の展開も地味で一般的に浸透しているとは言い難い。椎名を擁護する側からは過剰反応だとの声もある。しかし浸透していない現状において、紛らわしいマークが広がることで誤解を招くことの懸念はある。

■ヘルプマークと赤十字マーク

「ヘルプマーク」は赤地に白十字に白のハートマーク。特典グッズのデザインは赤地に白十字、その下に林檎というもので、かなり似ている。「ヘルプマーク」の白十字は赤十字マークと類似している。赤十字マークは赤十字社など法律で定められた組織しか使うことができず、類似したマークも使用禁止である。赤十字に似ている「ヘルプマーク」は東京都が制定したものであり、その「ヘルプマーク」と似ているデザインを個人が考案、使用してはならないということになる。今回の騒動は明らかに椎名側に落ち度がある。

赤十字がなぜそこまで使用に制限をかけるのか。赤十字マークは戦場や紛争地帯で赤十字社が医療行為を行う際に掲げる、攻撃禁止の目印として使用されるからだ。しかし実際には無視されて攻撃を受けることも多々ある。赤十字の旗の下で医療行為に励む医師たちは命をかけて、敵を武力で制する戦争・紛争においても人間に残された良心に訴えているのである。

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