「好きにするがいい。自らに由(よし)として、『我が心』のママにじゃ」
「ありがた山の寒がらすにございます!」
「こちらこそかたじけ茄子(なすび)だ!」
第34回大河べらぼう『ありがた山とかたじけ茄子』。
田沼意次(渡辺謙)が蔦重(横浜流星)の手を取り交わした、最後の言葉は「地口」でした。地口は、言葉遊びの一種で駄洒落のようなもの。このやりとりは一見テンポのいい軽い会話のように聞こえますが、実はお互いの“覚悟”が込められた最後のやりとりでした。
「胸が震えた」と感動して涙する視聴者も多かったようです。
※前回放送の振り返り記事↓
【べらぼう】なぜふんどし野郎?なぜていは眼鏡を外した?響く「屁!」コールほか… 第34回の振り返り「自らの思いによってのみ『我が心のママ』に生きる。わがままに生きることを自由に生きるっつうのよ。わがままを通してんだから、きついのはしかたねえや」
このドラマの根底に流れる、平賀源内(安田顕)の思いが、意次と蔦重を動かしました。源内を通して、身分も年齢も違うのに、不思議な友情と信頼関係が育まれていた田沼意次と蔦屋重三郎。
今回はこの二人の思いと、蔦重が己の信念である「書をもって耕す」から「書を持って抗う」を決意した思いを考察してみました。
老中が、意次から松平定信(井上祐貴)に変わり世の中が“松平推し”へと急速に変化しますが、蔦重は易きに流されません。