先の衆院選では、大阪の地方政党としてスタートした維新の党が公示前勢力の42議席から41議席と微減したものの、自民・公明の与党圧勝のなかで善戦し選挙戦を終えた。
大阪都構想による大阪府・市統合問題、職員及びその給与削減、生活保護受給率全国ワースト1と課題山積の大阪市。公示前の橋下市長の衆院選出馬宣言、そして撤回と市長職残留……年の瀬、揺れに揺れた大阪市役所の内情に迫る。
敵を作って叩き有権者に見せつける手法に飽きた
大阪市役所では、橋下市長就任以降、大きく分けて3つのグループができたという。“プチ橋下”と呼ばれる橋下市長派のエリート職員、橋下氏から目の仇にされてきた組合関係者、そしてこれら以外の“ノンポリ”――だ。今回、大阪市役所職員の多くを占めるノンポリの2人の大阪市本庁係長の2人に話を聞くことができた。
A係長:大阪市役所本庁市長部局
B係長:大阪市役所教育委員会
――衆院選後、市役所内では橋下市長はどうみられていますか?
A係長 マスコミの皆さんは維新が微減と仰るけれど、1議席だけ減っても勢力としてはそんなに違いはない。きっとこれまで通り強気の市行政運営を貫くでしょうね。とくに大阪都構想で対立する公明党には厳しくあたると予想しています。
B係長 ハシモっちゃん(橋下徹大阪市長)の天敵、公明党も善戦したので余計に彼も意固地にならはる思いますわ。また市役所内が荒れますよ。そもそもハシモっちゃんの政治姿勢は、誰か敵を作り、それを叩いているところをマスコミに報じてもらうやり方。それを有権者に見せつけて拍手させるという手法なんです。つぎは公明党がターゲットになるはずです。でも選挙民もそんなパフォーマンスというかキレ芸も、もう見飽きたんちゃいますか?
――国会の維新の会の勢力はほぼ公示前と変わりません。これにより橋下市長が推し進める大阪都構想への影響は?
A係長 大阪都構想はハシモっちゃんの政策の1丁目1番地みたいなもの。かならず実現を目指すでしょうね。あとは議会がどう判断するかではないですか。国会の議席減とは関係なくやるでしょうね。
B係長 大阪府・市の職員は、大阪都構想には皆、反対です。府と市を統合すれば住所地名称の変更を余儀なくされるところもある。余計なカネがかかるだけです。コストカットを謳いながらもハシモっちゃんはこの3月、「大阪都構想」推進の是非を市民に問うとして市長選を打ちましたが、これこそ貴重な市民の血税を無駄に使いました。
A係長 基本、自分に甘く、自分の身内である維新の議員への身内ビイキ、敵とみなす市職員と組合、公明の揚げ足取りがハシモっちゃんのやり方ですからね。
B係長 「バカ下 身内贔屓 まかり通る」と改名すればいい(笑)。
市職員の懲戒処分件数は増えるかも
――衆院選後の市長の動きをどう予測されますか?
A係長 市職員のなかでもハシモっちゃんサイドから一本釣りされた“プチ橋下”が威張るでしょうね。橋下市長就任後、市職員への懲戒処分が増えていますが、これも最近では増えてきた“プチ橋下”がハシモっちゃんに褒めてほしくて勝手にやってるようなもんですから。
B係長 市長も下から上がってきた懲戒処分案を取り下げるわけにはいかんしね。市職員も議会も萎縮して誰も市長にNOといえない。民主主義社会の地方自治体とはとても思えない。“プチ橋下”がますます増えるでしょう。国会で維新の会が思ったほど伸びなかったから、腹いせにハシモちゃんも市職員の懲戒処分件数は増やすだろうね。怖いわ。
維新議席微減は橋下人気の「終わりのはじめ」
橋下氏の政治手法は、大阪市長就任以降、組合、市職員、公明党と何がしかの“仮想敵”を作り、これとの一騎打ちを演出して有権者に問うという至極明快で単純なものだ。しかし、ここ大阪では大手メディアが取り上げるほど市民の間では“大阪都構想”は盛り上がっていないのが現状だ。
今回の衆院選で橋下が共同代表を務める維新の会の1議席減という結果は、圧倒的な民意を受けて当選した橋下人気の綻びを象徴する“終わりのはじめ”と見る大阪市職員は少なくないようだ。
(取材・文・写真/鮎川麻里子)