【下流社会】行き倒れ、大量の監視カメラ…ホームレスの聖地・山谷のヤバすぎる現状 (2/2ページ)
商店街を歩く。ほとんどの店はシャッターが閉まっている。弁当屋の前でらむ氏が笑う。
「おかゆがあるというのがこのあたりですね」
おかゆは120円。弁当は300円だ。安い。
さすがに商店街で寝ている人はいないだろうと思ったら、何人もいた。一本裏にある福祉センターでは、の看板の下で中年男が酔っ払って寝ていた。
道路に面してパイプ椅子を並べた飲み屋が空いていた。暇そうなオヤジが数人、飲んでいる。通りがかったオヤジの1人が、自分は源氏の血統だと言い出し、自転車のカゴから家系図を引っ張り出してきた。じわっとディープである。
歩き疲れて喫茶店に入ったら、道路の向かい側に救急車が止まった。さっき通った時に寝ていたオジサンがいたけれど、暑さで倒れ……救急隊員がブルーシートをかけている。えーと、寝ていたオジサンは寝ていたんじゃなくて、亡くなられていたということ? これはちょっとディープ過ぎ。
9時5時の生活では考えられない、サバイバルな人生。『ホームレス・スーパースター列伝』には、そんな異質な生き方を選ぶしかなかったオヤジたちへの親愛がぐつぐつ煮えて濃く溜まっているのだ。
(取材・文/川口友万)