【高槻少女殺害】猫じいも被害者の親も「犯人」扱いしたマスコミの大罪
犯人がなかなか逮捕されない殺人事件において、特定の人をターゲットにし「犯人」扱いして報道するケースがままある。大阪・高槻市で起こった中学1年生の平田奈津美さん殺害事件において、寝屋川市在住の山田浩二容疑者(45)が死体遺棄の疑いで逮捕された。行方不明となっていた平田さんの同級生、星野凌斗くんも遺体で発見される最悪の結末となった。
平田さんの遺体が見つかったのが8月13日の夜。それから1週間あまり、マスコミによってまるで「犯人」のような扱いをされてしまった人物が何人かいた。
「猫じいは犯人ではない」ツイートが拡散される
犯人が逮捕されるまで連日、新聞やテレビの取材を受けていた43歳の男性。地元で「猫爺(じい)」と呼ばれ、親しまれている有名人だ。猫好きで、事件現場近くのコンビニの前で猫にエサをあげるのが日課。ひげをたくわえ、ニットキャップ、長い鎖を首にかけている風貌だ。
平田さんと星野くんと「猫じい」との接点については、
「12日深夜に猫じいが二人と話しているのを友人が目撃した」
と報道されている。8月20日の日刊スポーツでは、目撃した人の声として、
「時間が遅いので、違和感があった」
と記されている。その頃から、「犯人は猫じいではないか?」という疑いのツイートが増えていった。
さらに、猫じいには容赦なく疑いの目が浴びせられた。逮捕された山田容疑者は猫じいと年齢が近い45歳。年齢が近いことからも、山田容疑者と猫じいの写真が並べられた画像が拡散された。
逮捕当初こそ「やっぱり犯人は猫じいか」というツイートも相次いだが、猫じいは山田容疑者とは別人だ。「別人です」「事件に協力した優しい人です」といった良識あるツイートも拡散された。
平田さんや星野くんの親も、マスコミから遠回しに「犯人」扱いされた。
星野くんのお母さんについては、31歳と若いことや、星野くんのお母さんのものとされるfacebookの記事が拡散されたことから、ネット上で中傷されたり「怪しい」と疑われてしまっていた。
東スポの記事によると、平田さんと星野くんの親から警察に行方不明届が出されたのが、平田さんの遺体が発見された翌日の8月14日。平田さんは親との不和や家出を繰り返したことも報じられている。東スポは、
「夜遊びを繰り返す娘が心配にならないわけがない」
「今回の事件と平田さんを取り巻く環境がどこかで結びついてしまっていたとすれば、あまりに残念だ」
と報じており、ネット上ではこの記事を読んだ人から「親を犯人説にしている」とのツッコミが相次いだ。
「これ東スポは遠回しに親が怪しいって言ってるんか?」
「こういうときに親が犯人ていわれて 実際犯人だったのってめちゃくちゃレアケースなのに
大抵犯人扱いされる謎」
マスコミ各社は事件について真実を伝えることよりもむしろ、犯人探しレースに必死であったようだ。
(文/春山修司)