ASEANに吹くジャズ旋風 「AYJO」が表現する未来 (1/4ページ)

FUTURUS

ASEANに吹くジャズ旋風 「AYJO」が表現する未来

新しい文化が生まれる瞬間とは、つまるところ異なる国同士の知恵や発想が混ざり合った瞬間である。文化は常にハイブリッドなものだ。

既存の文化が進化を遂げる時も、その原理は変わらない。音楽はその代表例だ。言葉も習慣も違う者が寄り集まり、思い思いのリズムを奏で、ではそれを合わせてみようと相談するうちに、今までになかった斬新な作品がいつの間にか完成している。

それを新しいジャンルと定め、名前をつけるのは観客の役目だ。演奏している本人たちは、ただただ己の感性に身を任せたに過ぎない。音楽とは、まさに水の流れを追いかけるかのような創造芸術なのだ。

今年、独立行政法人国際交流基金アジアセンターが企画した『Asian Youth Jazz Orchestra(以下AYJO)』は、文字通り現在進行形で新しい文化を築こうとしている。

この『AYJO』は日本と東南アジア各国から集まった28人の若いミュージシャンで編成され、9月から10月までの間にASEAN各国で公演をする。さらに来年1月には、日本の3都市でも演奏を行うという壮大な計画を予定している。

その第1回公演が、インドネシアの首都ジャカルタで行われた。



■ 21世紀のジャズ

9月17日、ここは中央ジャカルタ・チキニ地区にある劇場『グラハ・バクティ・ブダヤ』。筆者はすでに満員になったホールの最前席で、胸踊らせながら開演を待っていた。

何しろ筆者は、中学生の頃からのジャズファンである。国際交流基金のスタッフからこのイベントの存在を聞いた時、自分のスケジュール調整のことなど一切考えずに「取材に行きます」と答えてしまった。大好きなジャズを聴くことが仕事になる。こんな素晴らしい話はない。しかも約30人からなるビッグバンドだそうじゃないか。

少人数のビバップジャズやモダンジャズも好きだが、30年代チックのビッグバンドジャズも若い頃はよく聴いていた。これはもう、何が何でも取材に行かせてもらおう。

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