森山&島尻「新大臣」の“黒い交際”疑惑…地方議員の錬金術とは
【朝倉秀雄の永田町炎上】
県議選が証明する地方議員とヤクザの腐れ縁
安倍総理はよほど人を見る目がないのか、さっそく内閣改造後の新閣僚にスキャンダルが噴出した。世にも滑稽な高木毅復興相の「下着ドロ」疑惑については先月、取り上げたが、森山裕農水相にも談合で指名停止措置を受けた業者からの献金疑惑が発覚。島尻安伊子沖縄・北方担当相にも、公職選挙法の寄付の禁止規定に違反して自分の名前と顔写冥が入ったカレンダーを選挙区内で配った疑いが取り沙汰された。
さらに森山・島尻の2人に関しては週刊誌や夕刊紙が過去の暴力団との“黒い交際”を報じ、槍玉に挙げられている。政治家とヤクザや事件師などの裏社会の人間とは何ら生産活動を行なわず、デマカセやハッタリ、恫喝など口先三寸で世渡りする「虚業者」の典型で、いわば似た者同士だから互いに引きつけ合うのかも知れない。
多少は知性がある(?)と思われる国会議員ですらそんな有様だから、昨年、世間を騒がせた「号泣議員」こと野々村某のようなとかく胡散臭い輩が多い地方議員となると、裏社会とのつきあいはもっと密接だ。
そんな裏社会の人間が必ず一度は地方議員とつるんで手がけようとするのが産業廃棄物処理場の建設だ。産廃施設などカタギの人間はまずやろうとは思わないだろうが、都道府県の認可さえ得てしまえば、あとは大穴を掘って「ゴミを捨てさせるだけ」だから膨大な利益をもたらす。なかには造る気もないのに、偽造した県知事の「許可書」や懇意な県議の名刺などを見せて信用させ、出資者を募り、カネを持ち逃げする詐欺事件を引き起こす者もいるくらいだ。
だが、中間処理場にせよ最終処分場にせよ環境を汚染する恐れがあるから、認可を得るには何十もの部局と事前協議が必要になり、とても素人には手に負えない。当然、コンサル会社が手続きを代行することになるが、それだけでは足りない。政冶カが者を言うからだ。そこで大物県議など地方政治家の出番となる。県議と県の幹部職員とは生活圏を共有し、地縁血録で密接に結びついていることが多いから、酒食のもてなしで懐柔し、何としても認可を得ようと狂奔する。首尾よく成功すれば、法外なウラ献金を要求する。ちなみに森山は鹿児島市議、島尻は那覇市議上がりだ。
地方議員とヤクザが切っても切れない関係にあることは4月の千葉県議選が証明している。いすみ市選挙区から自民党公認で立候補した小路正和侯緒への投票と票の取りまとめを依頼するために、飲食店で有権者十数人に飲み食いさせたとして指定暴力団・住吉会の関功会長が公職選挙法違反(供応買収・事前運動)容疑で逮捕され、6月に起訴されているからだ。
もっともヤクザというのは下手につきあい方を間違うと殺人事件にまで発展するから厄介だ。2010年12月の茨城県議選のこと。指定暴力団・山口組の元幹部の設楽啓一なる者が石岡市選挙区から無所属で立候補した戸井田和之・元自民党県議の選挙事務所にトン保冷車で突っ込み、立ちはだかった戸井田の叔父をひき殺すというテロ事件を引き起こしている。設楽は翌年12月に殺人罪で懲役20年の有罪判決を受けているが、当選した戸井田は設楽について「友人ではないが、子供の頃から知っている」と語っているから、交際があったことは間違いないだろう。
会員制クラブを「談合組織」にしていた県政のドン
筆者は自著や雑誌への寄稿でしばしば国会議員たちの「陳情処理」という名の「口利きビジネス」について取り上げているが、利権漁りの度合いではむしろ地方議員のほうがはるかに露骨だ。地方議員は議員専業というのはむしろ珍しく、たいていは土建業など何らかの「商売」を本業にしているのが普通だ。当然、立場を利用して自らの利益を図ろうと画策する。土建業者であれば、役所の幹部から入札価格を聞き出し、「談合」を仕掛け、息のかかったゼネコンに落札させ、自分の会社がまんまと下請けに入り込むといった具合だ。
そんな「政治ゴロ」の典型が公共工事に介入してさんざん利権を漁った挙げ句、よほど税金を払うのが嫌いなのか、市県民税を12年間、3000万円も滞納し、親戚筋の千葉市納税課長を使って延滞金1億2000万円のうち3000万円を棒引きさせ、背任罪で逮捕されたこと花沢三郎元千葉県議だ。
花沢と共に「県政のドン」の名をほしいままにし、競うように実に奇想天外な手口で公共工事の配分をしていたのがⅠという県議だ。花沢は総武線沿線、Ⅰは常磐線沿線と“棲み分け”ができていたから、利権を巡っての衝突はなかったが、Ⅰは千葉県議として連続当選7回を重ね、県会議長までやった最古参。しかも広域暴力団の総長と「兄弟分の杯を交わした」と公言してはばからなかった無頼代講士の「舎弟分」でもあったから、県幹部は鬼のように恐れ、知事や副知事でさえ一目おかなければならないほどであった。
さて件のⅠセンセイ。愛人に銀座で会員制クラブをやらせていたが、奇怪なのは、「会員」がすべて建設業関係者だったことである。しかも飲み代は法外にも1人で「100万円」。店には「貴賓室」なるものが設けられ、ときどき“密合”が開かれ、次の公共事業をどの業者に割り当てるかIから「天の声」が発せられる。その店は巧妙にカムフラージュされた「談合組織」であった。100万円のうち数万円が実費。他は「談合組織の会費」だが、「客が納得して飲んでいる以上、代金をいくらにしようが違法献金にはならないはずだ。文句あるか!」というのがⅠの言い草である。
Iセンセイ、よほど悪運が強いのか、花沢のように逮捕されることなくあの世に旅立っている。
- 朝倉秀雄(あさくらひでお)
- ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中