若者注意! 臨床内科専門医に聞く、新型ノロウイルス大流行のきざし。その予防法とは?

激しいおう吐や下痢、胃腸炎を引き起こすノロウイルスの新型が、2014年3月に世界で初めて神奈川県川崎市で検出されて以降、注目を浴びています。厚生労働省は、全国の自治体に警戒するように通達しています。
ノロウイルスについて、臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長は、
「ノロウイルスが原因の食中毒は、毎年11月頃から翌年3月頃までの冬の時期に多く見られます。新型は感染力が強いので、自分で身を守って体内に侵入させないことが大切です」と言います。詳しいお話しを聞きました。
■新型ウイルスに対する免疫がないため大流行しやすい
――新型ノロウイルスとは、何がどう「新型」なのでしょうか。
正木医師 ノロウイルスには約30種の遺伝子の型があります。1度感染すると、同じ型に感染する可能性は低いのですが、1年のうちで違う型に感染することもあります。
2015年9月の国立感染症研究所と神奈川県川崎市の発表によると、前年3月に川崎市で検出された新型は「G2・17」型の一部が変異したタイプだったとのことです。
――新型ノロウイルスへの特別な注意点はありますか。
正木医師 新型でも、これまでのタイプと症状や対処法は同じです。ただし、新型に対しては、戦うための免疫を持っていない人がほとんどなので、まずは感染しないように注意をはらう必要があります。
というのも、感染すると自分の免疫機能が働かないだけではなく、周囲の人も同様に免疫がないため、次々に感染が広がって大流行する恐れがあるからです。家族全員が感染するのはもとより、学校や高齢者施設などでは、集団感染が起こる可能性もあります。
■回し飲み、ハンカチの使い回し、夜更かしに注意!
――ノロウイルスに感染すると、どのような症状が起こるのですか?
正木医師 感染してから24~48時間後に、主に吐き気、おう吐、下痢、腹痛が現れます。それほど高熱が出ることはなく、これらの症状が1~2日続いた後、自然に回復します。また、感染しても発症しない場合や症状が軽い場合もあります。
――感染しているかどうかは、どうすればわかりますか?
正木医師 通常、問診や症状をもとにノロウイルスが原因と推定して診察するケースと、ふん便からノロウイルスの有無を検出する簡易検査をもとに判定するケースがあります。簡易検査キットは利便性が高く、多くの医療現場で汎用されていますが、G2・17型のノロウイルスは他の遺伝子型に比べ、十分なウイルス量があるにもかかわらず陰性となりやすく、判定できない可能性もあります。
――では、症状が比較的軽くて自分でケアできそうなとき、どんな市販薬を選べばいいのでしょうか。
正木医師 現在、ノロウイルスを抑える特効薬はありません。ノロウイルスは小腸の粘膜で増殖しますので、とにかく、出してしまうことが先決です。下痢やおう吐があっても、下痢止めやおう吐止めの薬はウイルスを体内に留めてしまい、回復を遅らせるため、服用は避けてください。
そのうえで脱水症状を起こさないように、白湯で薄めたスポーツドリンクやドラッグストアで販売している「経口補水液」などで水分と栄養を補給しましょう。
――感染を防ぐための方法を教えてください。
正木医師 何よりも「丁寧に手を洗うこと」です。ノロウイルス感染の原因の多くは、手や指先に付着し、何らかの形で口から体内に入ることにあります。ですので、手洗いこそが、手や指に付着しているノロウイルスを洗い流して減らす、最も有効な方法です。
また、ノロウイルスはアルコールに強いので、アルコール消毒では感染予防できないことを知っておいてください。その上で、特に、料理を作る前、食事前、トイレに行った後は、指輪や時計などを外し、指と指の間、指の付け根、指先、指と爪の間、手首まで、石けんを十分に泡立てて洗いましょう。爪の間は忘れがちですが、指を曲げてもう一方の手のひらにとった泡にこすりつけるようにしてください。
特に若い世代は、食事の前に手を洗わない、人と飲み物の回し飲みやハンカチ・タオルの貸し借りをすることが多い、また、年末年始には食生活の乱れや夜更かしが原因で免疫力が低下すると想定されますので、感染予防を意識して過ごしましょう。
また、感染経路の一つに、「ノロウイルスに汚染された二枚貝」があります。貝類を生、あるいは十分に加熱調理しないで食べることは避けましょう。
――ありがとうございました。
新型のノロウイルスは、さらなる感染の拡大で大流行が予想されています。日ごろから、予防のための手洗いを徹底し、生活習慣を整えて免疫力アップを意識したいものです。
(岩田なつき/ユンブル)
取材協力・監修 正木初美氏。日本臨床内科医会専門医、大阪府内科医会理事、大阪府女医会理事、日本内科学会認定医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、正木クリニック院長。
正木クリニック:大阪府大阪市生野区桃谷2-18-9
http://masaki-clinic.net/wp/