「民法772条をそのままにするのは政府の怠慢」無戸籍者を生むカラクリ (1/2ページ)
衆議院議員であり、ジャーナリストとして活躍する井戸まさえさんが著したノンフィクション『無戸籍の日本人』(集英社/刊)は、これまであまりスポットライトのあたらなかった“無戸籍者たち”に光をあてた一冊である。
無戸籍者とは戸籍を持っていない人のことで、日本では推定で一万人以上いるといわれている。戸籍がないということは、例えば、教育や福祉の公的サービスを受ける際に支障をきたすこともあるということだ。
井戸さんは自身の子どもが無戸籍児になってしまったことをきっかけにその問題に目を向け、現在は支援活動を行っている。彼女がその“現場”で見つめてきたこととは? インタビュー後半をお伝えする。
(新刊JP編集部)
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―井戸さんはご自身のご経験から、市民団体の代表や政治家として民法772条の改正を訴え続けていらっしゃいます。民法第772条が持つ問題点について教えて下さい。
井戸:民法772条は全ての日本人が生まれて初めて出会う法律です。しかし1800年代後半、血液型すら発見されていなかった今から約130年前の常識の中で決まった父親を定めるルールです。
当時から医学も科学も飛躍的に進歩し、また私たちの生き方も多様なものとなっています。
にもかかわらず、相変わらず19世紀のルールのままで、21世紀の私たちは生きざるを得ない。これは立法府、政治の怠慢と言われても仕方がないと思います。
少なくとも、今となっては全く根拠のない民法772条2項の条文「離婚後300日」「婚姻後200日」を廃止することはもちろんですが、ともかくまずは法律の規定によって生まれた子どもをはじめから排除するようことがないようにしなければなりません。
――本書は無戸籍者たちの証言だけでなく、その要因の一つになっている民法第772条が政治の現場でどのように議論されているのかを克明に描いている点でも非常に重要な一冊だと思います。