ツキノワグマ「山林の人喰い現場」を決死ルポ!(1)事件の深層にある地方の窮状 (2/2ページ)

アサ芸プラス

このタケノコを採りに来る人の中には車で3時間以上かかる秋田市内からやって来る人もいるというが、労をいとわず遠方からも訪れる理由は、それを売るためである。現場近くに車を止めていた市内在住の60代男性が、匿名を条件に話してくれた。

「1キロ300円から400円で売れるんだ。業者が近くに車止めて待ってで、そこで買い取ってくれる。みんなだいたい40キロや50キロぐらいは採るもんだがら、いい稼ぎになるんだ」

 片側1車線の細い県道の両脇には、竹やぶを潰してできた畑が広がる。真横に伸びる道を行くと、畑の縁のすぐ向こうに鬱蒼と茂った細い竹が群生。そこがネマガリダケの採取場であり、事件現場である。

 ネマガリダケは、普通のタケノコに比べてかなり細く、柔らかく味がいいという。この男性はやはり“名所”である青森県八甲田連峰で採ったものを売りに来ていた。車に積まれた大きな袋の中には、土まみれのネマガリダケがぎゅうぎゅうに詰まっていた。50キロのネマガリダケで、1日約2万円の収入が得られる。

 2015年に厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によれば、県別の平均年収で秋田県は362万8500円、青森県は358万6900円で、それぞれ47都道府県中45位と46位。全国1位の東京都は623万5400円だが、格差社会が生んだこの地方の窮状に、事件の深層が潜んでいると言えそうだ。

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