【ブラックバイト】夜中まで毎日タダ働き?”学生酷使”の壮絶現場 (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

「年度が変わると、バイトの先輩たちが、就職したり院に進んだりして一気に抜けるんですよ。それまでは受験生である中学3年生や高校3年生は1~2人しか担当していなかったんですが、そういう生徒を多く受け持つことになって。結果、それまで担当してした子に加え、受験生をさらに10人近くも担当することになり、1コマ90分の授業を週10コマ以上受け持つすることになったんですね」

 週に900分以上の労働。Mさんによると、時給に換算するとおよそ1000円程度であったという。15時間と考えれば、学生のバイトとして妥当かどうかはともかくとして、それほど無茶苦茶な労働時間には思えないし、時給も塾講師のバイトの相場としてはかなり安いが、それでもブラックだと断ずるほどの材料ではない。しかし、このバイトには、授業以外の部分に大きな闇があったのだという。

「夏期講習や春期講習、夏期講習などの1か月半ほど前に、保護者面談があるんですよ。教室長と担当講師が同伴で保護者と話し合うのですが、それは現在の学習の進み具合から、講習でどのような段取りで学習を行い、講習後にどの程度のレベルに到達する予定かというカリキュラムを保護者の方に報告するんです。そのための書類を生徒の数だけ作るのですが、これがかなりの負担だったんです」

 前述の通り、生徒を十数人抱えていたMさんは、その人数分、一人一人の状況を調べ、受け持つ講義や宿題の内容などを検討し、書類を作成し始めたという。これにより、通常の講義に加え、このカリキュラムの作成を並行して行うことになったMさんは、残業地獄に追い込まれたのだ。

「その時は初めてということもあり、カリキュラム一枚6時間以上の時間がかかりました。そのあとチェックしてもらって、修正まで含めるとさらに数時間。いつも講義が終わるのが21時半なのですが、期限を守るためには、毎日塾が閉まる3時過ぎまで残業をしないと回らなくなってしまったんですね。それで、終わった後に漫画喫茶で始発を待つ毎日になりまして。もちろん、その代金なんか出るわけもありません。そして何より酷いのはが、この書類の作成に関しては、時給制ではなく、一枚1000円という値段だったんですね。6時間以上かけて書類を仕上げ、1000円をもらい、その大半が始発待ちの漫画喫茶代に消える。その後に当然自分の大学の授業があるわけです。もう何をやっているのかわからなくなってましたね、当時は」

 1000円しかもらえない書類を作るために、毎日夜中までほぼタダ働きをしたのちに、自腹で漫画喫茶に泊まり、始発で帰る。さらに大学で今度は自分が勉強する。もはや、バイトの域を超えて、ブラック企業もかくやというハードさだ。そしてその“地獄”を乗り越えた後も、Mさんがバイトに費やす時間は一切減ることはなかった。

「夏期講習では、そこから塾に入る子もいたのでさらに自分の担当が増え、自分のテストの時期とお盆以外は毎日ずっと出ずっぱりで講義に出て、結局6週間で220時間以上の講義を行うことになりました。これに加え、夏期講習から入って来た子はまた面談用の資料を作らねばならず、そのためにまた残業。さすがに夏休みでこちらも時間に融通が利き、終電逃しをするようなことはしませんでしたが、結局交通費も出ないのに休日に塾に来て、そうした講義以外の作業をしてましたね。『ああ、まるでサービス残業してる会社員みたいだな』って思いました。それで夏休みが終わっても担当する生徒は増えたままだし、今度は冬期講習に向けての準備が始まるんです。それで、さらにまた書類作りをするんですが、夏期講習と作る内容同じなのに、期間が短いという理由だけで一枚500円なんですよ。夏期の頃よりは慣れてたのと、講習の時みたいに講義がない日に行くことで、終電逃しは5~6回しかしなかったと思いますが」

「【ブラックバイト】夜中まで毎日タダ働き?”学生酷使”の壮絶現場」のページです。デイリーニュースオンラインは、ブラックバイトユニオンしゃぶしゃぶ温野菜ブラックバイト社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る