トヨタ世界一死守へ 忌まわしき米国市場シフト再び (2/2ページ)
ガソリンが安くなるとSUVやピックアップトラックなどの販売が伸びるのです」(自動車専門誌記者)
トヨタはこれらを生産しているテキサス工場で土曜日の操業を開始、メキシコの工場でも年数万台規模を増産するため設備の一部を増強した。さらに、日本からの輸出増にも取り組み始めている。
「ところが、ここ数年は既存工場の稼働率向上を優先して生産能力向上のための投資は抑えられていたため、効果のほどは限定的とみられています」(同)
大型車は利幅が大きく、自動車メーカーの利益を押し上げるといわれる。米国の新車販売は'15年に過去最高を更新し、今年も前年並みの1750万台に迫る。そんな中、トヨタの4〜6月期の北米販売台数は前年同期比2%減の71万5000台にとどまっている。『ローグ(日本名エクストレイル)』が好調の日産自動車が9%増、『CR-V』のホンダが3%増になったのとは対照的だ。
何とか北米市場に活路を見出したいトヨタ。一方、欧州での安定ぶりが目を引くVW−−。両社をめぐる攻防は、世界最大となった中国市場でも熱い。中国政府が打ち出した小型車減税の恩恵を受け、GMを含む世界のトップ3は大きく販売を伸ばした。中でもトヨタは15.5%増と絶好調だった。
「増加率はトップ3では最大ですが、VWにせよGMにせよ、中国市場ではトヨタよりも先行しており、事業規模は3倍も大きいですからね。後発のトヨタが真っ向勝負を挑み勝ち抜くのは容易なことではありませんよ」(ディーラー関係者)
トヨタ自動車の豊田章男社長が「拡大成長路線」から「持続的成長路線」を掲げるようになった経緯には、忘れられない苦い思い出がある。2009〜2010年に起こった米国での大規模リコール問題だ。複数のトヨタ車に対して発生した「意図せぬ急加速」で、章男社長自身が米議会の公聴会で証言した後、数年経って米運輸省当局は、基本的な自動車の電子制御に関する欠陥はなかったことを明らかにした。それにもかかわらず民事訴訟でトヨタ側は最終的に和解に応じ、その総額は30億ドルとも40億ドルともいわれている。
和解金額が確定した際、章男社長は「顧客が第一」というコメントを発表した。忸怩たる思いで米国に屈した章男社長率いるトヨタは、世界一の座を死守するため、再び米国市場に打って出るのか。もし失敗すれば章男社長のメンツは丸つぶれ必至。それこそ、トヨタには地獄が待っている。