【古式銃のテクノロジー・前編】すべては「種子島」から始まった (2/3ページ)

FUTURUS


■ 職人たちの戦国時代

そしてさらに重要なのは、この火縄銃が種子島だけの特産品にならなかったことだ。

火縄銃の製造技術はすぐさま畿内に伝搬し、当地での量産が始まった。これは優秀な刀鍛冶が、日本全国に存在したという証でもある。そうでなければ、鉄砲は「種子島でしか製造できない代物」になっていたはずだ。

この時代が、ちょうど戦国期であったことにも触れる必要がある。

中世日本に君臨していた室町幕府は、全国各地の守護大名に囲まれながら存続していた。だがこの政権の問題点は、力のある守護大名に政治的権限を与え過ぎたことだった。次第に守護大名が中央政権の方針に介入し、さらにその守護大名も従属勢力からの突き上げを食らい権力区分が細分化してしまった。それが戦国時代である。

鉄砲伝来前の日本は、各勢力が領土拡大を目論んでいたとはいえ「自分たちの上には室町幕府がある」という点だけは一致していた。当時の足利将軍家は、互いに競い合う諸大名の隙間でかろうじて命脈を保っていたのだ。

ところがその足利将軍家を駆逐し、さらに室町幕藩体制に固執する守護大名をも粉砕できる力を手にした男がいる。

織田信長だ。


■ 奇跡の鍛造技術

戦国時代の真の主役は、職人たちである。

たとえば、建設業を主な産業としている村があれば、戦国大名たちはどんな手を使ってでもその村を味方に引き入れようとした。「どんな手を」というのは決して武力に頼った方法ではなく、早い話が買収である。特に織田信長の場合は他の大名と比べて、戦争そのものに強かったというわけではない。だが彼は、驚異的なスピードの野戦築城を可能にする土木集団を有していた。それは要するに、圧倒的な経済力で職人を囲い込んだということだ。

鉄砲鍛冶も例外ではない。

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