従業員から事前承諾を得ずに、健診データを経営判断に利用してもいいの? (1/2ページ)
株式投資をしている方であれば耳にしたことがあるだろう「健康経営銘柄」。これは2015年から経済産業省と東京証券取引所が共同で始めたもので、従業員の健康管理に積極的に関与する企業を表彰するものだ。2016年の「健康経営銘柄」の一つに選ばれたローソンでは、健康診断を受けない社員とその上司のボーナスをカットするという非常にユニークな方法を取り入れ、当時話題を集めた。さてそんな健康経営は、従業員の健診データを元に経営判断をするということでもある。例えば健康診断の結果が良くなかった場合、その従業員の配置転換等の命令を下す可能性もあるのだ。従業員とは言え、健診データは非常に機密性の高い個人情報と言えないだろうか。そんな情報を経営判断に使うのであれば、従業員からの承諾が事前に必要な気もするが実際はどうなのだろうか。清水陽平弁護士に話を伺った。
■そもそも会社は従業員に対して、自由に人事異動を命ずることができる
「会社には、人事権について広い裁量が認められています。そのため、いやがらせ等の不当な目的がない限り、従業員の承諾がなくても自由に人事異動を行うことができます」(清水陽平弁護士)
基本的に会社には自由に人事異動を命ずることが出来るという。では健康診断の結果を元にした場合も、本人の意志や承諾とは関係なく、自由に人事異動を命ずることが出来るのだろうか。
「労衛法上、会社は、健康診断の結果、労働者の健康に異常な所見がある場合、医師等の意見を聞いて、必要に応じて就業上の適切な措置をとることが義務づけられています。また、従業員の状況に応じて、就業場所の変更や作業の転換といった措置をとらなければなりません(労衛法66条の4、66条5)」(清水陽平弁護士)
事業者は労働者の健康保持のために就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならないという。
■従業員の健康リスクと企業の経営リスクには相関関係がある
「例えば、健康診断の結果、運転業務に従事している者が、運転中に意識が失うおそれがあるのなら、会社としては、交通の安全のために、運転以外の業務へ配置換えする必要があるでしょう。