83歳筆者の〈極私的鑑賞ノート〉(4)...黒木和雄「TOMORROW/明日」に、戦争の理不尽を思う (6/6ページ)

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それでも、そこには相手の立場を思いやり、この悪魔のような兵器をなんとか廃絶しようという、共通の思いが見て取れた。

その大統領が「核兵器を全面的に廃絶しよう!」と世界に呼びかけたメッセージには、唯一の原爆使用国としての(明言しないまでも)責任についての思いがあった、と筆者には感じられた。

それに対し、唯一の、甚大な原爆被害を蒙った国の代表者の発言には唖然とさせられた。曰く「原爆保有国、米国の同盟国としては、核の傘による防衛に支障が出る」と懸念を表明する、というものだ。

政治家のいい加減さ(一貫性の無さ)と、国同士のつまらぬ駆け引きを観て、1945年8月8日にはごく当たり前の生活を営み、その翌日には突然「... 霧のごとくに 消されてしまった ...」人々は、この有様を観て、一体どんな思いだろうか?
想像するだけで、身震いするほどの怒りを覚える!

映画「TOMORROW/明日」という作品は、今でも、それだけの迫力を持って観客に迫って来る。

後になってしまったが、この作品は井上光晴の原作による、という。尤も黒木監督によれば、内容自体は可成り異なるものだ、ということだ。

実は、このコラムでは、引き続き、広島の原爆投下で死んだ父と、生き残った娘とのやりとりを中心に描いた「父と暮らせば」、井上ひさし原作の戯曲を、映画化した黒木作品に言及し、更に原作者井上ひさしの死亡によって、未完成となった戯曲(長崎の原爆投下によって死んだ息子と、生き残った母とを中心に描こうとして未完の)「母と暮らせば」を原作とし、その原作者の思いを引き継いで、映画として完成させた山田洋次監督の同名映画作品「母と暮らせば」について、書く心算であったが、既に紙面も尽きたようだ。それらについては、またの機会を待つことにしたい。

buraijoh.jpg筆者:ぶらいおん(詩人、フリーライター)東京で生まれ育ち、青壮年を通じて暮らし、前期高齢者になって、父方ルーツ、万葉集ゆかりの当地へ居を移し、今は地域社会で細(ささ)やかに活動しながら、西方浄土に日々臨む後期高齢者、現在100歳を超える母を介護中。https://twitter.com/buraijoh
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