人事のプロが指摘 「長時間労働の常態化」を招く本当の原因 (2/4ページ)

新刊JP

柴田:この問題は、日本社会が抱える多くの課題を含んでいると感じました。その一つが、日本の会社組織における「時間を守る」という概念のあり方です。そしてこれが、女性の社会進出がなかなか進まないことにもつながっていると思っています。

多くの企業において、中枢にいるオジ様たちが「時間を守る」といったとき、それはあくまで「始業時間を守る」ことにすぎません。つまり、「*時までに必ず仕事を終える」という考えが完全に抜け落ちているんです。

しかし、終業時間がズレ込むと困る女性は沢山いますよね。子を持つ母親であれば、保育園のお迎えなど、家族のための予定が後ろに控えているわけですから。

――そうした長時間労働の常態化を招いてしまうのには、管理職の時間意識以外にも何か要因はあるのでしょうか。

柴田:近年、あらゆる業界で、「考える前に動ける」人材が急速に減りつつあることも大きな要因の一つだと考えています。

冒頭でお話した次世代リーダー育成のための研修というのは、参加者にロールプレイをしてもらう形をとっています。こうした研修を数多く行なっていると、いま、多くの企業に、「考える前に動ける」人材がいかに不足しているかを肌で感じる瞬間があるんですよ。

たとえば、「クレーム対応」という想定で研修をしてみる。すると、「その場で考え、即決して行動に移す」という有事の対応が求められているにもかかわらず、「いったん社に持ち帰って……」と、悠長に平時の対応をしてしまう人が少なくない。

「あの人に確認をとってから」とやっていては、当然巻き込む人が多ければ多いほど、意思決定までの時間が長くなります。こうした時間のロスが積み重なって長時間労働を招くのです。

――なるほど。いまのようなお話は、組織の末端に行けば行くほど、起きてしまいがちな気もします。

柴田:その通りです。さらにいえば、こうした過労問題について論じるとき、「労働時間の長短」だけで判断するのは、やや短絡的にすぎるようにも感じますね。

たとえば、ベンチャー企業の創業者であれば、年間4,000時間どころか、「休みなんて要らない」という意識で働いているケースは珍しくありません。

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