【書評】『LIFE SHIFT』 変わりゆく「老後は安泰」、来る人生100年時代の全貌とは (1/3ページ)
「2007年に生まれた日本人の子どもの半数は107歳に到達する」
『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著、池村千秋翻訳、東洋経済新報社刊)では、まずそんなデータを私たちに提示している。(*1)
織田信長が『敦盛』で「人間五十年」と舞ったのは今から500年近くも前のことだが、近年日本人の寿命はどんどん伸びており、今では「人生80年時代」とも言われる。しかし、近い将来、「人生80年時代なんて言葉もあった」と語られるようになるかもしれない。
そして、何もこれは日本に限った話ではないようだ。同じデータにおいて、アメリカは104歳、イギリスは103歳、ドイツは102歳など、主要先進国も軒並み100歳を超えている。(*1)
■人生100歳以上が当たり前の生き方に備える『LIFE SHIFT』の日本語の副題は「100年時代の人生戦略」。100年生きる時代の人間の生き方を予測した一冊である。
労働、お金、時間、家庭――本書のテーマは多岐にわたる。
本書と向き合うために、読み手はこれまで言われてきたモデルを白紙に戻すことからはじめないといけない。「就職」と「リタイア」は今のままなのか? もしそうでないなら、おのずと人生設計も変わる。また後に触れるが、老後はどうなる? より高年齢まで収入を得続けるモデルが必要なのか?
重要なのは、「ライフシフト」がまず起こる国は、この日本だということだ。
著者は日本語版序文において次のように述べている。
世界でいち早く長寿化が進んでいる日本は、ほかの国々のお手本になれる。多くの人が100年以上生きる社会をうまく機能させるにはどうすべきかを、世界に教えられる立場にあるのだ。
『LIFE SHIFT』10ページより引用
日本への期待も受け取れるこの指摘は、反面私たちにとってプレッシャーにもなるだろう。しかし、手さぐりのまま「人生100年時代」に突っ込んでいくわけにはいかない。