アルコール依存症の救世主なるか?飲む前に飲む薬で依存症を取り除いていく「シンクレアメソッド」法(英研究) (4/5ページ)

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・お酒をやめるという心構えができていないと失敗する
 酒浸り生活で有名な二流の有名人のように、酒をやめる心構えができないうちに、この治療法を試そうとすると失敗する。

 「この治療には、患者の意思の力とエネルギーが相当必要だ。患者自身が本気で依存症から抜け出したいと望まなくてはならない。本気で立ち向かうのなら、薬が元の自分に戻る機会を与えてくれるというだけの話なのだ」

 言うまでもなく、需要は差し迫っている。特に、2014年にイギリスでアルコールが原因で死亡した人の数が8697人もいたのは驚異的な数字だからだ。

 アルコールは、口や喉、胃、肝臓、乳房のガンや高血圧、肝硬変、うつなど、60以上の疾患の原因になることがある。

 さらに、公共サービスにかかる経済的負担は、210憶ポンド(約3兆円)と巨額だ。35憶ポンド(4900億円)は国民健康保険制度(NHS)、110憶ポンド(1兆5500億円)はアルコールがらみの犯罪、73憶ポンド(1兆円)は失業手当に当てられている。・アルコール依存症の原因は複雑。必ずしも万人に効果はない
 しかし、業界の評者はシンクレアメソッドについて、諸手を挙げて歓迎しているわけではない。アルコール依存症の原因は複雑だからだ。

 アルコール・コンサーンの広報は、こうした活動は興味深いものだが、アルコール問題を治療するのに薬の摂取だけでいいとは、臨床医たちは率先して言わないだろうと言っている。

 「酒を飲み過ぎる理由は人さまざまで、薬理学の介入は決して人のサポートの代わりにはなりえない 過度な飲酒が人生をひっくり返してしまうことを人々に理解させるのは、やはり人の力なのだ」

イギリスにおけるアルコール依存症治療の実状

NHSは、イギリスの成人男性の9%、成人女性の4%がアルコール依存症だと見積もっている。イギリスでは、依存症患者のわずか1%しか治療しようとしない。

2013~14年の治療患者数は、2012~13年の10万9863人から5%(5237人)増えた。
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