アルコール依存症の救世主なるか?飲む前に飲む薬で依存症を取り除いていく「シンクレアメソッド」法(英研究) (3/5ページ)
彼らはたいてい栄養失調で不健康です。きちんと食事をしないで、始終アルコールでカロリーを補おうとするからです。ですから今後の治療のために、点滴によって強制的に体をベストコンディションにしておくのです。それから適切な食事習慣もつけてもらいます」
それから、日々の少量の酒と共にナルトレキソンを投与する。
「患者には、毎日10日間酒を飲みながら、処方された薬を飲むようアドバイスします。たとえ少量のアルコールであっても、患者の心と体は、アルコール消費とナルトレキソンの効果の関係をよく理解するのです。その後、患者は酒を飲む1時間前にこの薬を服用するようにします」
「シンクレアメソッドの奨励者は、これをエンドルフィンの絶滅と呼んでいますが、正確にはそれは違う。実際にはエンドルフィンをとても低いレベルに落とすことです。万人に100%効くわけではありませんが、大多数の依存者には非常に効果的です」
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確かに妙薬ではない。
サッカー選手のケニー・サンソンは去年、この薬による治療を直接体験した。100万ポンド(役1億4千万円)のマンションに住むほど稼いでいたサンソンは、イギリスで二番目にキャップ数(試合数)の多いフルバックだったが、アルコール依存症に陥り、そのキャリアのすべてを台無しにしてしまった。空のワインボトルをかかえて、公園のベンチに座っている姿を写真に撮られたこともある。
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サンソンは、最初シンクレアメソッドと相性が合っていたが、結局、薬による自己管理に失敗し、アルコールに走ってしまった。