秋津壽男“どっち?”の健康学「大人の虫歯は抜くべきか、抜かぬべきか?高額な治療費目当ての抜歯には注意せよ」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「大人の虫歯は抜くべきか、抜かぬべきか?高額な治療費目当ての抜歯には注意せよ」

 私たちが小さかった頃と比べて、ものすごく減っている病気。それも「患者が少ない」「経営できない」と医者が嘆くほどの症状をご存じでしょうか。

 正解は「虫歯」です。40年ほど前は「虫歯にならない子供」は珍しく、70年代など子供の9割が虫歯でした。それが今や、お菓子を食べさせない親が増え、虫歯に対する親の予防意識も高まりました。加えてフッ素入り歯磨きの普及や学校検診も増えたことで「虫歯になる子供」は小学生の数割だといいます。

 きちんと歯磨きをしていれば撲滅できるとさえ言われるのが虫歯です。

 ただでさえ少子化だというのに虫歯の子供が減り、反比例するように歯医者は増えました。

 歯科医院の数はコンビニより多いのですから、潰れる歯医者が出るのも当然で、今や歯医者の年収は300万円に満たないと言われてもいます。

 さて、ここでお題です。もしも大人が虫歯にかかった場合、抜くべきでしょうか、抜かずにおくべきでしょうか。

 虫歯には治療法がなく、虫歯の個所を削るしかありません。削れば削るほど、いずれ歯そのものはなくなりますが、わずかな根っこでも残しておくと、何かの役に立ちます。

 もちろん虫歯自体は治さねばなりませんが、抜くのはギリギリまで待ってください。

 歯の根っこが化膿して歯根膜炎や歯髄炎を起こせば別ですが、単なる虫歯なら、根っこの上にかぶせ物を入れるなど、次の治療に役立ちます。抜いた場合、残された隣の歯が支えを失って倒れたり、かみ合わせが悪くなって口全体のバランスにも影響を及ぼします。

 抜くのはいつでもできますので、残せるなら残すのが正解となります。

 すぐに歯を抜きたがる歯科医がいたら、「治療費目当て」というケースが考えられます。というのも、抜歯自体は大してお金にならず、保険点数もわずかでタダ同然の料金ですが、そのあとのインプラント(チタン製の人工歯根を埋め入れる治療)やブリッジ(抜歯後に歯を入れて左右の歯と橋のようにつなげる療法)は、高額な治療費を請求できます。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「大人の虫歯は抜くべきか、抜かぬべきか?高額な治療費目当ての抜歯には注意せよ」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 5/18号“どっち?”の健康学治療費秋津壽男虫歯社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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