全国規模で“相乗り”OKに動き始めた タクシー業界に渦巻く期待と不安 (2/2ページ)
「確かに、うまくいけば需要喚起、売り上げ増につながりますが、トラブルも懸念されます。その中で、最大の問題は運賃。当然、距離やコースによって客各自の料金がアプリで弾き出されることになるのでしょうが、その計算に納得できない客が運転手に文句を言うケースも出てくる可能性がある。その処理に運転手が巻き込まれるということです」
さらには、相乗り相手の選択も心配される。酒に酔った客を嫌う人、女性客同士を望む人などが多くなれば、客が集まらない可能性もある。
「また、このご時世、客の家の近くで停車するため、家を特定され、客が客のストーカーになる恐れもあります」(業界関係者)
加えて、この相乗り制度導入が、日本では解禁されていないマイカーでのライドシェア(相乗り)につながり、これに業界が壊滅的な打撃を受ける危険も孕んでいる。
「世界では急成長しているマイカーライドシェア制度は、登録したマイカー所有者がアプリで配車を受け、利用者を目的地に届けるシステム。そのサービスを行っている代表は、『Uber』と『Lyft』。ともに米国で'09年、'12年に創設されて急成長中で、相乗りシステムも手掛けています」(業界に詳しい記者)
しかし日本では、マイカー利用の旅客行為は、“白タク行為”として道路運送法によって禁止されているため、両社とも進出はできていない。
「それでも両社は、東京五輪に向け日本進出の機会を虎視眈々と狙っています。『Lyft』には楽天の三木谷浩史会長兼社長が360億を出資。その三木谷氏と懇意の安倍首相は、'15年に訪米した際に、同社CEOらと懇談し、前のめりになっています」(同)
当然、この動きに日本のタクシー業界は反対だ。
「今回の相乗りへの動きは、海外のマイカーシェア業界進出を制する動きです。オランダでは、『Uber』などより安い料金でタクシー業界が相乗りサービスを成功させている例もある。それらを参考にしつつ、完全に封じ込めたい思惑があるのです」(業界関係者)
しかし、本来は海外勢封じ込めのための乗り合い解禁が、逆に呼び水となり、黒船襲来となる可能性も否定はできない。さらに今後、トランプ政権が市場開放を求める動きも出かねないという。
どちらに転んだとしても、タクシー業界の不安は尽きない状況なのだ。