世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第236回 食料安全保障と種子法廃止 (1/3ページ)

週刊実話

 2017年8月、東京では21日間連続で雨が降った。雨天が続いたのは東京に限らず、範囲は関東全域、さらには北日本にも及んだ。日照時間が不足した結果、キュウリやネギなど、一部の野菜の卸売価格が平年の1.5倍程度に高騰した。

 筆者は「防災安全保障」に絡め、「日本国民が分散して暮らす重要性」について語っている。日本は自然災害大国である。自然災害大国である以上、国民は可能な限り分散して暮らし、いざという時は助け合わなければならない。だからこそ、交通インフラを整備し、各地方が経済成長し、「経済力」、すなわちモノやサービスを生産する力を蓄積する必要があると力説しているわけだ。

 同じように、食料安全保障の面では、
 「日本の各地域で、食料生産が可能なこと」
 もまた、極めて重要な考え方になる。何しろ日本の食料生産が一地域に集中してしまうと、その地域が天候不順になっただけで「全滅」という話になりかねない。
 もちろん、外国からの食料輸入を否定するわけではない。とはいえ、いずれにせよ安全保障の「肝」は供給能力の多様化であり、集中化、一本化ではないのだ。

 逆に、「おカネ」「利益」に至上の価値を置くグローバリズムは、効率性追求の観点から「特定の○○」への特化を好む。俗にいうモノカルチャーだ。
 いわゆる大航海時代から、グローバリズムはモノカルチャーであった。アメリカ大陸で砂糖のプランテーションを作り、インドの小麦農家には綿花、芥子、藍といった商業作物への転換を強い、マレーシアのジャングルを焼き尽くし、ゴムの木を植える。なぜならば、そちらの方が「利益」になるためである。

 モノカルチャーは、非常事態に対して極めて弱い。少し天候不順になるだけで、その国(いわゆる植民地)では餓死者続出となる。イギリスに支配され、インドの小麦農家が綿花への切り替えを強制された結果、19世紀だけで、2000万人以上のインド住民が餓死した。イギリスによって、当時は先進国であったインドが貧困に追い込まれた。
 餓死者を続出させたという意味で、イギリスのインド支配ほど残酷な事例は、毛沢東の大躍進、スターリンのホロドモール(ウクライナ人に対する餓死強制)以外は知らない。

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