世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第236回 食料安全保障と種子法廃止 (2/3ページ)
それはともかく、安全保障とはいずれにせよ多様化、分散化が重要なのだ。ところが、非常事態に備えて供給能力を多様化、分散化しても、非常事態が発生しなかった場合は「ムダ」という話になってしまう。
ムダを極力排除しようとするグローバリズムと、国家安全保障の相性が悪い理由は、
「日本の特定地域のみで食料生産が行われるようになって構わないのか?」
という命題について考えるだけで、理解できるはずだ。
モノカルチャーは危険である。最近の日本で言えば、「種」の寡占化を招きかねない種子法廃止は、まさに「亡国の政策」としか呼びようがない。都道府県に稲と麦、大豆の種子の生産や普及を義務付ける主要農作物種子法(以下「種子法」)が、来年4月に廃止されることが決まった。種子法は、大東亜戦争敗北後の食糧増産を目的に、1952年に制定されたものだ。政府が地方交付税で予算を支出し、都道府県が管理する原種などから種子を生産し、毎年、農家に配布することで作物の品質を保つ仕組みになっている。
種子法廃止の最大の問題は、これまで「税金(地方交付税)」を使い、各都道府県や公的機関、農協、農家が協力して、精密機械並に精緻に「原種、原原種、優良種」である種を各圃場で生産し、農家に多様な種を「安く」提供していた仕組みに対し、予算がつかなくなることである。
実は、種子法廃止もまた「緊縮財政」の問題なのだ。
種子法が廃止され、都道府県の圃場管理の予算がなくなると、間違いなく種子の価格は上がる。というよりも、種子の価格を引き上げることこそが、種子法廃止の目的なのである。
モンサントやカーギルなど、アメリカのアグロバイオ企業、穀物メジャーの代理人である日本の規制改革推進会議は、平成28年10月6日 未来投資会議構造改革徹底推進会合「ローカルアベノミクスの深化」会合 規制改革推進会議農業ワーキング・グループにおいて、
2.施策具体化の基本的な方向
(1)生産資材価格の引下げ
(10)戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。