世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第236回 食料安全保障と種子法廃止 (3/3ページ)
そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する。
という、意味不明な理屈に基づき、種子法廃止を提言した。
これまで、日本は「種子法」により、税金を使い「安く、優良で、多種多様な種子」を農家に提供してきた。日本の優良で安い種子は、「税金(地方交付税)」により担保されてきたのである。それを「生産資材価格の引き下げ」というお題目で廃止する。意味が分からないのは、筆者だけではあるまい。
種子法が廃止されれば、間違いなく日本の種子は「高騰」の方向に向かう。そもそも、日本の種子が安すぎることを問題視したモンサントをはじめとするアグロバイオ企業が、種子法の廃止を望んだのである。
しかも、種子法廃止の1カ月後に可決された農業競争力強化支援法により、
「都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」
という、異様としか表現のしようがない条文までもが法律化されてしまった。
過去何十年という期間、税金を使い、日本の都道府県が蓄積してきた「種子のノウハウ」が、外資系を含む企業に提供されていくことになるわけだ。最終的に、日本の種子産業はモンサントに代表される巨大アグロバイオ企業に支配されることになるだろう。50年後には、天皇陛下はモンサント産遺伝子組み換えの稲で新嘗祭を執り行うことになる。
いかなる言い訳をしようとも、安倍政権、そして種子法廃止法案および農業競争力強化支援法に賛成票を投じた国会議員たちは、亡国の輩なのだ。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。